窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

CSR・環境ビジネスセミナー

2008年03月20日 | リサイクル(しごと)の話
 3月19日、神奈川県中小企業団体連合会主催の「CSR・環境ビジネスセミナー」にパネラーとして出席しました。CSRと環境をテーマにしたディスカッションでしたが、同じくパネラーとして参加された企業、組合さんが非常に面白く有意義な時間を過ごすことができました。

 神奈川県相模原市にある、ビルの清掃・設備管理・環境衛生を一手に手掛ける「さがみビルメンテナンス協同組合」の鈴木正博理事長。2003年、ビルメンテナンスの組合としては初のISO14001を取得(因みに組合の全構成企業を含めての取得は全国初)した他、毎年環境報告書を作成することで水質汚濁とは切っても切り離せない運命にある清掃事業にあって環境対策への意識向上と情報公開を積極的に行なっていらっしゃいます。

 そればかりでなく清掃・設備管理という事業の性質そのものを活用し、地元桜祭りの「空き缶清掃キャンペーン」や中学生の就業体験受入れ、マンション管理者として高齢者の就業訓練を行なうなど地域貢献にも大変積極的です。鈴木理事長は思いのたけを非常に情熱的な語り口で述べられる方で、その「想い」が組合員企業をまとめこれだけ幅広い活動を実現させている原動力ではないかと感じました。

 もう一方は愛媛県今治市にある「池内タオル」の池内計司社長。デザイナーズブランドの下請け生産からの脱却を図るため1999年「環境」をテーマにした独自ブランドIKTを構築。 「最初の品質が長続きする商品が環境にもっとも優しい」という信念の下、10回洗濯しても最初の風合いが変わらないというだけでなく、

・原料・糸に使用する綿は枯葉剤を使用しない全てオーガニックコットン
・染料は乳幼児が口にしても安全なもの
・織機の動力を風力発電で賄う(ということで「風で織るタオル」と呼ばれているそうです)
・最終仕上げは石鎚山系の地下水を使用
・廃水はCOD12ppm以下

等々 、人と環境への安全に対しては妥協を許さぬ徹底した拘りぶりです。また、太さの異なる糸、モーダルやポリエステルなど綿以外の素材を組み合わせることで、染色の微妙な違いによる独特のグラデーション(地元の来島海峡をイメージしているそうです)と”Miracle Softness”と形容される風合い感で次第に人気を呼び、2002年のNYホームテキスタイルショーで日本企業として初の"Best New Product Award"を受賞。

 池内社長曰く「環境=品質であるというストーリーが重要」とのことで、その信念が共感を呼び、差別化の難しくコモディティ化したタオルという商品にあって多くの熱いファンを獲得するに至ったのであろうと思います。何でも、取引先倒産の煽りで自らも民事再生を申請する事態に陥った危急存亡の折、消費者から自発的に「がんばれ池内タオル」というファンサイトが立ち上がり、会社に「私が何枚買えば池内タオルを救えますか」との問い合わせが寄せられたとか。 そこまで愛される企業が果たしてどれだけあるでしょうか。機会があれば是非四国にお邪魔して改めてじっくりお話を伺いたいと思います。

 ここにあげた「さがみビルメンテナンス協同組合」さんにせよ、「池内タオル株式会社」さんにせよ、パネルディスカッションの中で感じたのは”Profit”よりも”Value”に生きる強い姿勢、それによってブレない企業行動を作り上げているという点です。また、自らの事業が持つ「公共性」を驚くほど深く認識しそれによってできることを徹底して行なう。この姿勢は同様に「公共性」を強く持つ我々再生資源業界にとって大いに参考になります。3時間半に及んだディスカッションが時間の経過を感じさせないほど多くを吸収できた一日でした。

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八丁堀のワインバー Maru

2008年03月20日 | 食べ歩きデータベース
一週間くらい前になりますが、八丁堀にあるMaruというワイン&ダイニングバーに行ってきました。八丁堀駅を出てすぐ目の前にある「宮田屋」さんというディスカウントのリカーショップが小売店舗に併設して運営しており、1階が店舗とスタンドバー(立ち飲み)、2階と3階がテーブル席になっています。各階には酒屋店舗そのままといった感じのワイン棚が並び、そこから気に入ったワインを自分で選んで飲むことができます。しかも、価格が店頭価格とそんなに変わらないのではないかと思わせるほど手頃で、平日から溢れんばかりのお客さんで賑わっているのも宜なるかなという気がします。

 食事も地中海風のメニューが充実しており、特に築地が近いこともあってかその日に揚がってきた新鮮なシーフードには星印がついています(この日はオマール海老や牡蠣でした)のでお勧めです。お出かけの際は事前に予約しておいた方が良いでしょう。八丁堀というと「京葉線=遠い」というイメージがあった僕ですが、霞ヶ関から日比谷線ですぐだということも分かったので、是非また行ってみたいと思います。

Maru
東京都中央区八丁堀3-22-10


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「リサイクル」は免罪符か?

2008年03月20日 | リサイクル(しごと)の話
先日たまたま映っていたテレビで、芸人さんの持っている洋服を周りの出演者が批評し、これは駄目というものはポリバケツに放り込むというバラエティ番組が目に止まりました。古着のリサイクルに携わっている者としては見ていてあまり気分の良いものではありませんでしたが、ポリバケツに放り込んだ洋服は「リサイクル」と表示されていたところを見ると制作側にも幾許かの贖罪意識があったということでしょうか。

 ふと思いましたのは、「リサイクル」するのであれば洋服をポリバケツに放り込むという行為も果たして善行に変わるのか、ということです。人の行いは結果と同時にその動機も大切だと思います。当社にも毎日沢山の古着が送られてきますが、丁寧に箱詰めされている上に、その洋服にまつわる思いの丈をつづったお手紙を同封してくださる方は決して珍しくありません。そういう方々が思い出の詰まった洋服を断腸の思いでリサイクルに出されるという気持ちと洋服がダサいという理由でいとも簡単にゴミ箱に放り込める、またその様子をみて笑えるという感覚が結果「リサイクル」するのだから同じであると言えるでしょうか。

 同じテレビ番組でも数年前、当社のリサイクルが取り上げられた時に、番組に出演していた有名な俳優さんが後日「自分の衣装を捨てるに忍びないので是非リサイクルして欲しい」ということで実に丁寧に梱包された箱を送られてきたことがありました。
 その方は芸能界でも恐らく尊敬を集めているベテランの俳優さんだと思いますが、そうした行いが立派だと思えるのはやはり「リサイクル」に出したという結果ではなく、その動機ゆえなのです。

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