3月7日、新潟・青木酒造さんの「鶴齢」試飲会へ行ってきました。試飲会場は東神奈川の「ほっこり酒処 千」です。
新潟県南魚沼市にある青木酒造さんの創業は1717年。新潟県で三番目に古い酒蔵だそうです。生産するお酒の約6割は新潟県内で消費されるそうですので、県外に流通する量はあまり多くないお酒と言えます。
今回試飲したのは、次の6本です。
・鶴齢 純米大吟醸 槽搾り
・鶴齢 純米吟醸
・鶴齢 特別純米 越淡麗 生原酒
・鶴齢 特別純米 山田錦 生原酒
・鶴齢のにごりさけ
・雪男 純米酒
初めに「鶴齢 純米大吟醸 槽搾り」から。純米大吟醸のもろみを伝統的な槽(ふね)で搾り、原酒を瓶詰めした本数限定のお酒です。槽搾りというのは、酒袋と呼ばれる袋にもろみを入れ、上からゆっくりと圧力をかけて搾る方法です。以前、富山の「吉乃友酒造」さんを見学した時に見た気がします。機械による圧搾に比べ、圧力が弱いので能率は悪いですが、雑味の少ないお酒になると言われています。
山田錦37%精米、アルコール度数16%、日本酒度-9.5、酸度1.6。口に含むと、これぞ米の中の米という、お米の甘みと旨味が凝縮された、大変美味しいお酒です。その割に確かに余計な雑味がなく、飲み口が良いのですいすいと飲めてしまいます。料理と別にしてお酒単体で楽しみたいお酒。恐らく、あっという間に無くなってしまうでしょう。
次は一転してスッキリとした飲み口の「鶴齢 純米吟醸」。越淡麗55%精米、アルコール度数15%、日本酒度+2.0、酸度1.4。越淡麗は、山田錦と五百万石の交配から生まれた、新潟の酒米だそうです。スッキリとしながらもお米のふくよかな甘みがあり、魚沼の柔らかな雪解け水を連想させます。因みに仕込み水ですが、魚沼の雪解け水はミネラルが豊富と言われ、去年行った「上善如水」の試飲会で飲んだ白瀧酒造さんの仕込み水はやや硬い感じがしました。しかし、今回は非常に軟らかい印象を受けました。実際、青木酒造さんの仕込み水は軟水だそうです。青木酒造さんと白瀧酒造さんは距離にして13㎞ほどしか離れていないのですが、結構違うものなのでしょうか。
三杯目は「鶴齢 特別純米 越淡麗 生原酒」。越淡麗55%精米、アルコール度数17%、日本酒度+3.0、酸度1.6。料理に合わせて飲むなら、今回の中で一番好きなお酒。力強い米の旨味、控えめな甘さ、ややアルコールを強く感じます。鴨のロースト、焼き鳥、塩気のある食べ物に合わせたいです。雪深い魚沼では保存のため味付けの濃い食文化が育ったのだそうです。その土地の食に合うようにできている、日本酒でなくても言えることですが、そこがお酒の神秘的なところであり魅力でもあります。
四杯目は「鶴齢 特別純米 山田錦 生原酒」。山田錦55%精米、アルコール度数17%、日本酒度+3.0、酸度1.8。全体として厚みはありますが、控えめな甘さとキレ、アルコールを感じます。先ほどのお酒の後ということもあって、何となく若々しさというかギャップを感じてしまうのですが、山田錦が晩稲の品種であるということも関係しているようです。
「鶴齢のにごりさけ」。山田錦60%精米、アルコール度数17%、日本酒度-3.0、酸度1.8。見た目と違い、すっきりとしたキレのあるやや辛口。軽く発泡しており、酸味も感じます。飲みやすいです。
最後は「雪男 純米酒」。美山錦60%精米、アルコール度数15%、日本酒度+7.0、酸度1.5。これまでのお酒とは大きく違う、しっかりとした辛口。清水のようで、最後だけに余計ギャップを大きく感じました。テーブルでも好みの分かれたお酒でした。
ほっこり酒処 千
神奈川県横浜市神奈川区西神奈川1-8-11
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした