
新橋駅から飲み屋街を突っ切り、マッカーサー通りとぶつかるところまできた小さなビル。よく目を凝らさなければ看板にも気づかない細い階段を地下に降り、扉を開けると…。まだ木曜日だというのに、まるで新橋のガード下のような雑踏と喧噪。この日、一緒に飲んだ後輩の紹介で、「工(たくみ)」という驚きの居酒屋と出会いました。

店内は満員。隣の人とも肩を擦わせんばかり、カバンをどこに置けばよいのかも分からず、通路も半身にならなければ通れないほどの混雑ぶり。コンクリートむき出しの壁に、簡易なテーブルと椅子を並べただけのお店は、どう見ても千べろ居酒屋。思わず後輩に「どうやってここ見つけたの?」と聞いてしまったほどでした。
しかし、このカオスな雰囲気とは裏腹に、後輩の知り合いでもあるオーナーの中安工さんは、フランスの三ツ星レストランのシェフとして腕を振るわれた方だそうです。何とお通しで出てきたのは、サクサクのなすのフリット。これでまず虜になりました。

相性の良い、いぶりがっことクリームチーズ。

サラダも素材にこだわっていることが一目、一口で分かります。

刺身の盛り合わせは、タイ、かんばち、ヒラメ縁側の三種。これをそれぞれポン酢醤油、オリーブオイル&バルサミコ酢、青唐辛子醤油でいただきます。和風、フレンチといった既成概念に囚われない、自由さを感じます。

田舎風パテ。この日のパテは何とヒグマ!生まれて初めて熊を食べました。普段僕が知っているパテよりも固く、しっかりとした噛み応えがありました。噛むほどに味が出て、美味しかったです。

日本酒や焼酎もちゃんとあります。





高級感すら感じさせる上質の焼き鳥、焼き豚は、せせり、レバー、砂肝、つくね、ホルモン。串物はぜひ食べていただきたいです。

牛ほほの赤ワイン煮。本物のフレンチを新橋、しかも居酒屋値段でいただけるなんて。

食べるも食べたり、飲むも飲んだりで、締めはさっぱりとした素麺。素麺というより氷見うどんのような細うどんに近い、つるりとした触感。赤ワイン煮の後に素麺、やはり楽しさ美味しさに国境なし。この自由さが何とも心地よかったです。
後輩の記録によれば、3人で生ビール2杯ずつ、日本酒4合、ワイン2本。帰りは横浜を通り過ぎ、辻堂まで寝過ごすというおまけがつきました。
工
東京都港区新橋4丁目20−8 フジビル B1
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
