こと飲食に関して「横浜らしい」と個人的に思うのは、下町生まれのせいもあるかもしれませんが、「お洒落ではないけれども、旨いものが安く食える」ということ。関内周辺でも日が落ちる前からやっている居酒屋さんは限られる中、訪れた末広町の「たまや」さんもそんなお店でした。
簡易な椅子とテーブル、壁いっぱいに貼られた品書きの数々はまさに町の酒場。決して上品とは言えない雰囲気の中で、何を食べようか選ぶ楽しみ、そして旨いものに出会えた楽しみ。こういうのが肩肘張らずいいんですね。
中でも目に留まったのが、「名物まぐろづくし」。その中から、「かくれ身焼肉」、「頭肉天ぷら」、「ホホ南蛮」の三品を選びました。上の写真は、かくれ身焼肉。かくれ身はまぐろで一番うまいと言われる脳天の部分。以前、野毛の「百萬石」でもご紹介しました。そのまま食べても、脂ののったマグロユッケとしてイケますが、これを冒頭の写真のように焼いて食べます。写真だけ見ればカルビのようですね。トロッとしていて驚きの旨さです。この食感、以前ご紹介した「クジラ赤肉のあぶり」に似ています。
頭肉天ぷら。こちらも脳天部分ですが、より身が締まっています。こちらをピンク岩塩で。
ホホは言わずもがな、ですね。柔らかい牛肉のようで、よりサッパリとしています。頭だけで様々な「顔」を見せる、まぐろの魅力の一つでしょうね。
油ものが続いてしまったので、ここで名物「おやじ盛り」。毎朝市場で仕入れるという新鮮な魚の10点盛りです。
居酒屋の定番、ポテトサラダ。しかし、ここのポテトサラダはマヨネーズぎとぎとと言ったことがなく、きめ細やかで非常にあっさりとした仕上がりでした。
初鰹の刺身。サッパリとしているのが春の鰹、気が付きませんでしたがもうそんな季節なのですね。今年はあまり冬を感じないままに春の訪れということになりそうです。
逆にそろそろ終わるのが、牡蠣ですね。今は一年中流通しているという話も聞きますが。
鰭酒。因みに、本格焼酎も豊富に揃っており、(減量中で)2か月半ぶりのお酒だったため、控えめにソーダ割にしました。初めてでしたが、八丈島の麦焼酎『情け嶋』、美味しかったです。
写真に撮り忘れたものも含め、お腹いっぱい食べたにもかかわらず、驚きの安さでした。そして、店を出た時、まだ19時になっていなかったというのも珍しい経験でした。
たまや 伊勢佐木町店
神奈川県横浜市中区末広町2-6-10
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした