「麗しのうつわ - 日本やきもの名品選」 出光美術館

出光美術館千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階)
「麗しのうつわ - 日本やきもの名品選」
1/9-3/22



古代より近代に至るまでの日本のやきものを総覧します。出光美術館で開催中の「麗しのうつわ - 日本やきもの名品選」へ行ってきました。

タイトルに「名品選」と記されているので今更私が言うまでもありませんが、確かにこれほどの品の揃う展覧会などなかなか他でお目にかかれないかもしれません。全百数十点にも及ぶ器が、それを彩る屏風絵とともに、時に華やいだ様相で、また時には幽玄な佇まいを醸し出していました。

展示の構成は以下の通りです。(出品リスト

1.「京の美 - 艶やかなる宴」:仁清、乾山、古清水
2.「幽玄の美 - ゆれうごく釉と肌」:猿投、志野、唐津
3.「うるおいの美 - 磁器のまばゆさと彩り」:肥前、鍋島、古九谷、柿右衛門、波山
4.「いつくしむ美 - 掌中の茶碗」:楽焼、織部

あまり図版も用意出来ず、その魅力をお伝えしにくいのが残念ですが、以下に私の惹かれた作品をいくつか挙げてみました。



仁清「色絵熨斗文茶碗」
まさにモダン。のしの文が風に靡いているかのように器を彩る。ベージュの地にガラス質を混ぜ合わせたという釉薬も鮮やかだった。

乾山「色絵芦雁文透彫反鉢」
霞を透かしで象り、半ば窓をつけて内部と外部の境を取っ払う。緑色の芦と金の雁のコンビネーションも美しい。



「黄瀬戸茶碗 銘 春霞」
端正はフォルムの中にうっすらと春の湿った霞が漂う。細い蔓ののびる花紋様も可愛らしい。

「志野兎文茶碗」
ひしゃげた器の中で白兎が跳ねる。細かな草むらはぐるりと一周、兎に無限の空間を与えていた。

「色絵花筏文皿」(鍋島)
好きな鍋島からの一枚。川面に浮かぶ筏には桜の花びらが舞い落ちる。幾何学模様を描くような斬新な図像と、またお馴染みの青みを帯びた色遣いに心を奪われた。

「黒楽茶碗 銘 黒面翁」(長次郎)
私の中ではやはり別格の長次郎の黒。遠目で見た時から磁石のようにひきつけられる。ずっしりと重みをたたえながらも、やや不安定な高台のせいか、どこか脆く儚い雰囲気を醸し出しているのが素晴らしい。力強さと一転しての弱さを兼ね備えた希有な作品。語られる瞑想性は、口縁から内にくるまっていくかのような独特の形にも由来するのではないかと思った。

また奈良時代の猿投のモデルともなった金銅製の箱など、いくつか器に関連する作品が展示されているのも興味深いポイントでした。

しかしこれだけの名品が全て出光コレクションであることには改めて驚かされるものがあります。

「すぐわかる茶の湯の名品茶碗/矢部良明/東京美術」

22日までの開催です。
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