「橋本雅也 殻のない種」 ロンドンギャラリー白金

ロンドンギャラリー白金
「橋本雅也 殻のない種」
7/7-7/25



ロンドンギャラリー白金で開催中の橋本雅也個展、「殻のない種」へ行ってきました。

独学で彫刻を学び、今では人里離れた無住の地にて制作を行うという橋本雅也。



乳白色を帯びた美しいスイセンやサクラなどの草花の数々。薄い花弁に緩やかな曲線を帯びた葉、いずれも精巧な彫刻自体に感心させられる方も多いかもしれません。

それがまた素材を知ってさらなる驚きへと変化します。



何とそれは鹿です。つまり橋本自身、猟師とともに足を運び、雪山にて仕留めたという一頭の鹿、その骨と角が、今回の作品の全ての源となっています。(上の鹿がまさにそれです。)

ともかくも繊細でしなやかな様子、そして質感は、おおよそ本来的に曲げることすら難しい骨とは思えません。



またモチーフである花や草が持ち得ていた色は、当然ながら寡黙なモノクローム、骨自体の白へと移り変わっています。

何時か朽ち果ててしまう草花が既に「死」を踏まえた骨であるということ、それを思った時、何ともいい難い儚さを感じてなりませんでした。

それにしても会場はお馴染みのロンドンギャラリー、当然ながら古美術と交えた魅力的な展示になっています。



花の向こうにお目見えするのはまさに百花繚乱、華麗な等伯の屏風絵「四季花鳥図」です。



そして古木の上のホトトギスの間には、同じく等伯の「寒江渡舟図」が掲げられているではありませんか。



ちなみに素材となった鹿ですが、基本的には全て食し、骨や角も無駄にすることがないそうです。



生き物の死と真っ当に向き合う橋本の真摯な姿勢、それは作品の凛とした佇まいからも感じられるかもしれません。

7月25日まで開催されています。

「橋本雅也 殻のない種」 ロンドンギャラリー白金
会期:7月7日(土)~7月25日(土)
休廊:日・月・祝 *但し7/12(木)は休廊。
時間:11:00~18:00
住所:港区白金3-1-15 白金アートコンプレックス4階
交通:東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅3番出口より徒歩10分。東京メトロ日比谷線広尾駅1番出口より徒歩15分。
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