「新井淳一の布 伝統と創生」 東京オペラシティアートギャラリー

東京オペラシティアートギャラリー
「新井淳一の布 伝統と創生」 
1/12-3/24



東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「新井淳一の布 伝統と創生」を見てきました。

織物の街、群馬県は桐生出身のテキスタイルプランナー、新井淳一(1932~)。60年に渡り糸の開発、また染織や織、加工を手がけ、新たな布の可能性を追求。三宅一生との恊働などファッションとの関わりでも大きな業績を残した。

こう言われても、率直なところ見る前は今ひとつピンと来るものがありませんでした。

結論から述べましょう。この布の魅力に降参。まさかこれほど布に多様な表情、そして「景色」が広がっているとは思いもよりません。


「万華鏡IV」ポリエステル、アルミニウム 1992年

冒頭はその新井が生み出した布のサンプルの展示。と言っても、単純に布がずらずらと並んでいるわけではありません。

何故ながら展示をパリを拠点に活動する建築家ユニットDGT(ドレル・ゴットメ・田根/アーキテクツ)の田根剛が担当。一つのストーリーを思わせるようなインスタレーションが展開されているのです。

この良さを言葉にするのが難しいのですが、布から広がるイメージ。それはもはや大自然の世界へと通じます。


「白虹」ナイロン、アルミニウム 1993年

新井は布はともかく多様。彼は国内外の素材メーカーと協力し、金属糸からプラスチックフィルム、またフェルトなどを、伝統的な染めや絞りの技術を用いて今に再生。色に素材に鮮やかでかつ言わば新奇な布を無数に制作しています。


「青」ウール、ナイロン、アルミニウム 1995年

青に白がせめぎあう布、その襞。さらにはざわめく布のうねり。そして艶。そこからは大海原や大山脈の景色が浮かんでくるではありませんか。

そしてインスタレーションと言えば続くギャラリー2の作品が圧巻。高さ5メートル超、全長15メートルにも及ぶ布がとぐろをまいた、その名も「マワリテメグル」です。

こちたはウォークイン方式。螺旋に沿って布の中心部へ。奥へと進んでいくと徐々に暗くなり、最奥部にはぽっかりと空洞が出現。布から透けて見える景色に布自体の光沢感の美しさ。その姿はまるで巨大な有機物のようです。そこに呑み込まれていくような感覚は神秘的ですらありました。


「プリーツI」ポリフェニレンサルファイド、アルミニウム 2007年

ラストは布の森。「琳派」や「稲妻」、それに「氷河」などと名付けられた、いずれも縦6メートルほどの布が天井から吊り下がります。そして突き当たりには「プラクシス」。巨大な壁一面に幾重にも連なる白い布が雲のように渦を巻いていました。

「新井淳一の布 伝統と創生」プロモーションムービー


会場の風景はyoutube動画の他、下記リンク先の同ギャラリーの公式サイトにも。百聞は一見にしかずです。是非ともご覧ください。

「新井淳一の布」展示風景@東京オペラシティアートギャラリー

布から開ける自然と宇宙への共感。世界を巡る布の旅。そのスケール感は圧倒的でした。

「新井淳一―布・万華鏡/森山明子/美学出版

3月24日までの開催です。ずばりおすすめします。

「新井淳一の布 伝統と創生」 東京オペラシティアートギャラリ
会期:1月12日(土)~3月24日(日)
休館:月曜日。(祝日の場合は翌火曜日)及び2/10(日)。
時間:11:00~19:00 *金・土は20時まで開館。最終入場は閉館30分前まで。
料金:一般1000(800)円、大・高生800(600)円、中・小生600(400)円。
 *( )内は15名以上の団体料金。土・日・祝は小中学生無料。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
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