2019年7月に見たい展覧会【日本の素朴絵/ジュリアン・オピー/伊庭靖子】

関東では梅雨に入り、連日、雨混じりの曇天が続いています。外出も億劫になりがちの季節ではありますが、いかがお過ごしでしょうか。

6月に見た展示では、東京オペラシティアートギャラリーの「トム・サックス ティーセレモニー」、それにまだ感想がまとめられていないものの、国立新美術館の「クリスチャン・ボルタンスキー展」や、ちひろ美術館・東京の「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」が印象に残りました。

7月も多くの展覧会がスタートします。それでは気になる展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「華めく洋食器 大倉陶園100年の歴史と文化」 渋谷区立松濤美術館(~7/28)
・「生誕125年記念 速水御舟」 山種美術館(~8/4)
・「遊びの流儀 遊楽図の系譜」 サントリー美術館(~8/18)
・「メスキータ」 東京ステーションギャラリー(~8/18)
・「唐三彩 ―シルクロードの至宝」 出光美術館(~8/25)
・「新収蔵浮世絵コレクション」 國學院大學博物館(~8/25)
・「没後60年 北大路魯山人 古典復興―現代陶芸をひらく」 千葉市美術館(7/2~8/25)
・「優しいほとけ・怖いほとけ」 根津美術館(7/25~8/25)
・「江戸のスポーツと東京オリンピック」江戸東京博物館(7/6~8/25)
・「食の器」 日本民藝館(~9/1)
・「高橋秀+藤田桜――素敵なふたり」 世田谷美術館(7/6~9/1)
・「日本の素朴絵」 三井記念美術館(7/6~9/1)
・「MAY I START?計良宏文の越境するヘアメイク」 埼玉県立近代美術館(7/6~9/1)
・「原三溪の美術 伝説の大コレクション」 横浜美術館(7/13~9/1)
・「太田喜二郎と藤井厚二-日本の光を追い求めた画家と建築家」 目黒区美術館(7/13~9/8)
・「特別展 三国志」 東京国立博物館(7/9~9/16)
・「没後50年 坂本繁二郎展」 練馬区立美術館(7/14~9/16)
・「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」 国立西洋美術館(~9/23)
・「モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち」 国立西洋美術館(~9/23)
・「マイセン動物園展」 パナソニック汐留美術館(7/6~9/23)
・「ジュリアン・オピー」 東京オペラシティアートギャラリー(7/10~9/23)
・「日本のよろい」 東京国立博物館(7/17〜9/23)
・「1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと」 東京都写真美術館(7/20~9/23)
・「嶋田忠 野生の瞬間 華麗なる鳥の世界」 東京都写真美術館(7/23~9/23)
・「みんなのミュシャ」 Bunkamura ザ・ミュージアム(7/13~9/29)
・「みんなのレオ・レオーニ展」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(7/13~9/29)
・「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」 東京国立近代美術館(7/2~10/6)
・「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」 三菱一号館美術館(7/6~10/6)
・「大竹伸朗 ビル景 1978-2019」 水戸芸術館(7/13~10/6)
・「伊庭靖子展 まなざしのあわい」 東京都美術館(7/20~10/9)
・「恐竜博2019」 国立科学博物館(7/13~10/14)
・「あそびのじかん」 東京都現代美術館(7/20~10/20)
・「塩田千春展:魂がふるえる」 森美術館(~10/27)
・「虫展 デザインのお手本」21_21 DESIGN SIGHT(7/19~11/4)

ギャラリー

・「αMプロジェクト2019『東京計画2019』 vol.2 風間サチコ」 ギャラリーαM(~7/13)
・「第13回 shiseido art egg 今村文展」 資生堂ギャラリー (7/5~7/28)
・「水野里奈 思わず、たち止まざるをえない。」 ポーラ ミュージアム アネックス(7/12~7/28)
・「岡田裕子展 ダブル・フューチャー」 ミヅマアートギャラリー(7/10~8/10)
・「田名網敬一の観光」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(7/5~8/21)
・「台所見聞録-人と暮らしの万華鏡」 LIXILギャラリー東京(~8/24)
・「アルフレド&イザベル・アキリザン展」 アートフロントギャラリー(~8/4)
・「宮島達男 Counting」 Akio Nagasawa Gallery Ginza(~8/31)
・「毛利悠子/David Horvitz 『summer rains』」 SCAI THE BATHHOUSE(7/19~9/7)

まずは日本美術です。「ゆるい、かわいい、たのしい」がキーワードでもあります。三井記念美術館にて「日本の素朴絵」が開催されます。



「日本の素朴絵」@三井記念美術館(7/6~9/1)

これはゆるくとぼけた「素朴絵」を多様に紹介するもので、お伽草子や奈良絵本などの絵巻に絵本、それに庶民向けの曼荼羅や大津絵、ひいては白隠や光琳、それに蕪村らの描いた作品が一堂に公開されます。また端的に絵画だけでなく、古くは埴輪から彫刻の神馬、または円空や木喰の仏像などの立体も出展されます。


この春には府中市美術館で「へそまがり日本美術展」が開かれ、徳川の将軍が描いた個性的な軸画にも話題が集まりました。近年、日本美術を「かわいい」などの観点から俯瞰する展示や著作も増えていますが、今回の「素朴絵」も注目されるかもしれません。

日本の美術館としては実に11年ぶりの個展です。イギリスの現代アーティスト、ジュリアン・オピーの展示が、東京オペラシティアートギャラリーではじまります。


Julian Opie / Walking in New York 1 / 2019

「ジュリアン・オピー」@東京オペラシティアートギャラリー(7/10~9/23)

人物や風景などを単純化させて表現するオピーの作品は、絵画や立体だけでなく、映像でも人気を集めてきました。例えば東京では国立近代美術館の常設展示に、日本の風景を液晶ディスプレイに表した「日本八景」が公開されていて、日々、来館者の目を楽しませて来ました。


そのオピーは、近年、人を側面から捉えたポートレートにおいて、より簡略化した作品を制作するようになったそうです。振り返れば2008年の水戸芸術館の個展では、芝生広場にもオブジェを設置し、美術館の内外の空間を効果的に用いた展示を行っていました。それから11年、オピーの今の世界を知るための絶好の機会となりそうです。

新たな試みとして映像の作品も初めて発表されます。日本の美術家、伊庭靖子の個展が、東京都美術館で行われます。



「伊庭靖子展 まなざしのあわい」@東京都美術館(7/20~10/9)

自ら撮影した写真を絵画を描く伊庭は、かねてよりリネンや器などのモチーフを、独特な清潔感のある光や空間に包み込むかのように表現してきました。そして今回の個展に際しては、約3年余り時間をかけ、絵画、版画、そして映像を制作を行いました。


なお美術館としては、2009年の「伊庭靖子―まばゆさの在処」(神奈川県立近代美術館)以来10年ぶり、また東京の美術館としては意外にも初めての個展でもあります。

少し遅くなりましたが、それでは今月もどうぞ宜しくお願いします。
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