都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ジュリアン・オピー」 東京オペラシティアートギャラリー
東京オペラシティアートギャラリー
「ジュリアン・オピー」
2019/7/10~9/23
1958年にロンドンで生まれたジュリアン・オピーは、最小限の点や線によって、人物や風景などを、絵画に彫刻、LEDディスプレイで表現しては、人気を集めて来ました。
国内では2008年の水戸芸術館以来、実に11年ぶりとなる美術館での個展が、東京オペラシティアートギャラリーではじまりました。今年や昨年の最新作の27点が展示されていて、中には高さ約6メートルにも及ぶレリーフがあるなど、天井高を活かした構成になっていました。
手前:ジュリアン・オピー「Walking in New York 1」 2019年
はじめがオピーの得意とするピクトグラムのようなポートレートでした。うち「Walking in New York 1」や「Walking in Boston 3」は、イヤホンで音楽を聴いたり、スマホを見やりながら都会に歩く人々の姿を、6メートルもの大画面に表した作品で、太く黒い輪郭線で簡略化した造形や、平明でかつ鮮やかなコントラストを描く色彩など、オピーならではの表現を見ることが出来ました。
ジュリアン・オピー「Walking in Boston 3」(部分) 2019年
そして一見、遠くから眺めると平面の絵画のように映りましたが、近づくと、何枚ものパネルで組み合わされていることが分かりました。さらに興味深いのは、全てがパネルではなく、黒い輪郭線の部分は、おそらく壁に直接色を塗っていて、平面と立体の双方によって1つの作品が作られていることも見て取れました。この平面とも立体とも厳密に決めがたい、ギミックのような面白さがあるのも、大きな魅力かもしれません。
ジュリアン・オピー「Towers1」 2018年
一連のポートレートに続くのが、同じく人や田舎や高層ビルの風景、それに鳥などの動物の作品で、ブロンズや石の彫刻、アルミニウム、またLEDディスプレイなど、実に多様な素材を用い表現していました。
手前:ジュリアン・オピー「Crows」 2018年
カラスをアニメーションで表した「Crows」に目を引かれました。5台の小さな両面LEDディスプレイにカラスが映されていて、地面でエサをついばむのか首を上げ下げしたり、フンをする姿などを、白い線のみのシンプルな描写ながら、奇妙なほどリアルに表していました。
ジュリアン・オピー「3 Stone sheep」 2018年
先のポートレートしかり、全ては記号化され、無機的に映るようでありながら、どことなく個性的であり、親しみやすく感じるのも、オピー作品の特徴と言えそうです。
「ジュリアン・オピー」展会場風景
ブロンズのポートレート、ジョギングをする人の映像、カラスや羊、さらに田園や高層ビルの彫刻などを眺めていると、田舎と都会の交差したランドスケープが築かれているようにも感じられました。近年、オピーは人から都市、風景へと制作の幅を広げていますが、まさにオピーの関心の現在の在り処が、この個展で示されたのかもしれません。
ジュリアン・オピー「Sonia Elvis Elena Paul」 2019年
11年前、水戸芸術館でオピーの作品を殆ど初めて見て、大いに惹かれたことを思い出しました。水戸では屋外の芝生広場にも作品を設置するなど、館内外の空間を効果的に用い、ポートレートをはじめ、「日本八景」などの風景の作品を展示していました。
今回の個展は前回と比べるとよりシンプルな構成かもしれません。なお会場内にBGMとして流れるピアノ音も、オピー自らが手がけた作品だそうです。目と耳で楽しめました。
ジュリアン・オピー「Street1」 2019年
撮影も可能です。9月23日まで開催されています。
「ジュリアン・オピー」 東京オペラシティアートギャラリー
会期: 2019年7月10日(水)~9月23日(月)
休館:月曜日
*祝日の場合は翌火曜日。
*全館休館日:8月4日(日)
時間:11:00~19:00
*金・土は20時まで開館。
*入場は閉館30分前まで。
料金:一般1200(1000)円、大・高生800(600)円、中学生以下無料。
*同時開催中の「収蔵品展067 池田良二の仕事」、「project N 76 末松由華利」の入場料を含む。
*( )内は15名以上の団体料金。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
「ジュリアン・オピー」
2019/7/10~9/23
1958年にロンドンで生まれたジュリアン・オピーは、最小限の点や線によって、人物や風景などを、絵画に彫刻、LEDディスプレイで表現しては、人気を集めて来ました。
国内では2008年の水戸芸術館以来、実に11年ぶりとなる美術館での個展が、東京オペラシティアートギャラリーではじまりました。今年や昨年の最新作の27点が展示されていて、中には高さ約6メートルにも及ぶレリーフがあるなど、天井高を活かした構成になっていました。
手前:ジュリアン・オピー「Walking in New York 1」 2019年
はじめがオピーの得意とするピクトグラムのようなポートレートでした。うち「Walking in New York 1」や「Walking in Boston 3」は、イヤホンで音楽を聴いたり、スマホを見やりながら都会に歩く人々の姿を、6メートルもの大画面に表した作品で、太く黒い輪郭線で簡略化した造形や、平明でかつ鮮やかなコントラストを描く色彩など、オピーならではの表現を見ることが出来ました。
ジュリアン・オピー「Walking in Boston 3」(部分) 2019年
そして一見、遠くから眺めると平面の絵画のように映りましたが、近づくと、何枚ものパネルで組み合わされていることが分かりました。さらに興味深いのは、全てがパネルではなく、黒い輪郭線の部分は、おそらく壁に直接色を塗っていて、平面と立体の双方によって1つの作品が作られていることも見て取れました。この平面とも立体とも厳密に決めがたい、ギミックのような面白さがあるのも、大きな魅力かもしれません。
ジュリアン・オピー「Towers1」 2018年
一連のポートレートに続くのが、同じく人や田舎や高層ビルの風景、それに鳥などの動物の作品で、ブロンズや石の彫刻、アルミニウム、またLEDディスプレイなど、実に多様な素材を用い表現していました。
手前:ジュリアン・オピー「Crows」 2018年
カラスをアニメーションで表した「Crows」に目を引かれました。5台の小さな両面LEDディスプレイにカラスが映されていて、地面でエサをついばむのか首を上げ下げしたり、フンをする姿などを、白い線のみのシンプルな描写ながら、奇妙なほどリアルに表していました。
ジュリアン・オピー「3 Stone sheep」 2018年
先のポートレートしかり、全ては記号化され、無機的に映るようでありながら、どことなく個性的であり、親しみやすく感じるのも、オピー作品の特徴と言えそうです。
「ジュリアン・オピー」展会場風景
ブロンズのポートレート、ジョギングをする人の映像、カラスや羊、さらに田園や高層ビルの彫刻などを眺めていると、田舎と都会の交差したランドスケープが築かれているようにも感じられました。近年、オピーは人から都市、風景へと制作の幅を広げていますが、まさにオピーの関心の現在の在り処が、この個展で示されたのかもしれません。
ジュリアン・オピー「Sonia Elvis Elena Paul」 2019年
11年前、水戸芸術館でオピーの作品を殆ど初めて見て、大いに惹かれたことを思い出しました。水戸では屋外の芝生広場にも作品を設置するなど、館内外の空間を効果的に用い、ポートレートをはじめ、「日本八景」などの風景の作品を展示していました。
ジュリアン・オピーの11年ぶりとなる個展が東京オペラシティ アートギャラリーで開催中。立体作品も充実していて、会場は楽しいオピーワールドに! https://t.co/U4ILN4ULF6 pic.twitter.com/6hM04xSC8K
— Pen Magazine (@Pen_magazine) July 25, 2019
今回の個展は前回と比べるとよりシンプルな構成かもしれません。なお会場内にBGMとして流れるピアノ音も、オピー自らが手がけた作品だそうです。目と耳で楽しめました。
ジュリアン・オピー「Street1」 2019年
撮影も可能です。9月23日まで開催されています。
「ジュリアン・オピー」 東京オペラシティアートギャラリー
会期: 2019年7月10日(水)~9月23日(月)
休館:月曜日
*祝日の場合は翌火曜日。
*全館休館日:8月4日(日)
時間:11:00~19:00
*金・土は20時まで開館。
*入場は閉館30分前まで。
料金:一般1200(1000)円、大・高生800(600)円、中学生以下無料。
*同時開催中の「収蔵品展067 池田良二の仕事」、「project N 76 末松由華利」の入場料を含む。
*( )内は15名以上の団体料金。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
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