『ワニがまわる タムラサトル』 国立新美術館

国立新美術館
『ワニがまわる タムラサトル』 
2022/6/15~7/18



国立新美術館で開催中の『ワニがまわる タムラサトル』を見てきました。

1972年生まれたの現代美術家、タムラサトルは、これまでに主に電気で動く立体作品を手がけ、国内にて個展を開いてきたほか、リバプールや釜山といった海外のビエンナーレにも参加して幅広く活動してきました。

そのタムラの初の国立美術館での個展が『ワニがまわる』で、タイトルの通りにワニをモチーフとした電動の立体作品によるインスタレーションが公開されていました。



ともかく展示室に入って目に飛び込んでくるのがワニを象った約1100体ものオブジェで、いずれもがスピードこそ異なりながらもくるくるとひたすらに回転していました。



ワニは緑や青、赤、黄色など鮮やかな色に彩られていて、サイズも10メートル以上もある巨大なワニから10センチ程度のものまでとさまざまでした。



このワニの回転する作品はタムラが実に30年越しに手がけてきたもので、ワニの数や色、またサイズや回転速度を変化させながらバリエーションを変えて生み出してきました。そしてワニを作るきっかけとなったのが、学生時代に出された「電気を使った芸術装置」という課題でした。



ワニの一部は、タムラが籍を置く宇都宮メディア・アーツ専門学校の学生や、日本大学芸術学部デザイン学科の有志、それに国立新美術館にて行われたワークショップの参加者によって制作されていて、ワークショップの様子を捉えた写真もパネルにて紹介されていました。



ひたすらに回転を続けるワニがひしめく中、唯一、展示室の奥の黄色の大きなワニだけは静止していて、しばらくするといきなり音を立てながら勇ましく回転しはじめました。こうしたサプライズのようなワニの動きも面白いところかもしれません。

タムラは来場者へ「わけが分からないもやもやの楽しさを感じてほしい。」とのメッセージを発していましたが、まさに美術館の展示室にて無数のワニのオブジェがまわるという不可思議な状況にこそ面白さがあるのではないでしょうか。



何せ1100体ものワニを回転させているゆえに、床面には多くの電線が張り巡らされていました。タムラ自身もインタビュー映像にて「歯車1つ足りないと動かなくなる。」と語っていましたが、いわゆるメンテナンスも展示を続ける上で大切の作業といえるかもしれません。



入場は無料です。7月18日まで開催されています。

『ワニがまわる タムラサトル』 国立新美術館@NACT_PR
会期:2022年6月15日(水)~7月18日(月・祝)
休館:火曜日。
時間:10:00~18:00
 *毎週金・土曜日は20:00まで
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:無料
住所:港区六本木7-22-2
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅出口6より直結。都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩4分。東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩5分。
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