◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「ふれる」と「さわる」。

2009-08-05 21:43:09 | 気になる言葉、具体例
                          さわりにくい位置キープ
 「福井県民の生活にふれる」「地域の人とふれ合う」で「ふれる」という単語が登場しましたが、ふだんの会話では「さわる」しか出てきませんよね、「ふれる」はちょっと改まった感じがします。でも、雰囲気だけではなく、明白な違いもあります。手で何かにさわることを「手をふれる」と言いますが、その意味で「手をさわる」とは言いません。
 「怒りに触れる」「法に触れる」などはこれで決まった形ですから「さわる」とは言いませんが、これもふだんの会話ではあまり出てきませんね。ちなみに、私は、「ふれる」「ふれ合う」、「怒りに触れる」「法に触れる」というように表記を区別しています。「触れる」と書くと「怒りに触れる」「法に触れる」がすぐに思い浮かぶので、怒りも法も関係ないときは「ふれる」と書きます。個人的な好みでそうしているというだけですけれど。
 さて、「触れる」は自動詞か他動詞か。動作や作用の及ぶ対象があれば他動詞、なければ自動詞なのですが、あれこれ考えだすととても難しいですね。辞書には、自動詞として、接触する、交流する、感じる、取り上げて言う、反応する、体験する、他動詞として、多くの人に知らせる、というのが載っています。ふぅむ、ほとんど自動詞ですね。「手がふれる」「手にふれる」「手をふれる」「手でふれる」、さまざまな言い方がありますが、結局みんな同じことです。
 「さわる」も自動詞で、会話ではけっこう「~をさわる」と言いますが、本来は「~にさわる」ですから、ちょっと違和感があります。でも、もはや、それは誤りだと言えないところまで来ているように思います。それに、「~をさわる」には「さわる」以上の意味があるように思いますから、そういう意味で言うときは別にかまわないと思いますが・・・例えば、「図面のこの部分をさわると面倒なことになるなぁ」とかね。
コメント
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