◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「ほぼ完全のまま」って?

2010-10-17 09:24:26 | 気になる言葉、具体例
                              りんごとか諏訪湖とか
 「楽器の生な音」ってどんな音? 「生の音」なら生演奏、目の前で演奏されているということ、もしくはアンプラグドということかな、それ以上の意味はないでしょうけれど、「生な音」だと、一体どんな音なのだろうか~と想像して・・・いたのですが、昨日、用事があって車で市の中心部を通り、信号待ちをしていたところ、あ、楽器の生な音が聞こえる! と思いました。
 近江町市場入り口の広場でイベントをやっていたようで、生演奏らしき音が流れてきたのです。演奏者の姿が見えなかったので本当に生演奏かどうかは確認できない、でも、これは生演奏だろうと思うような音だったので、そうか、これが「楽器の生な音」か、と思ったわけです。生っぽいけど、本当に生かどうか分からないという感じです。
 でも、「~な」と言っている人たちのほとんどは、ただ単に、「~の」と言うべき言葉であるということをしっかり認識しないでいいかげんにしゃべっているだけの感染者でしょう。なぜかというと、「な」であることの意味を想像できる例ばかりではないからです。例えば、「元気な秘訣」なんて、「元気の秘訣」と言っているつもりなんだなぁと受け取りますが、全くの誤りであるとしか言えません。
 逆に「な」が「の」になっている例は「の」が「な」になっている例の2~3割だと思うのですが、より問題が大きいのはこちらだと感じます。「熾烈の戦い」「不安の気持ち」「親孝行の○○さん」「入手困難のスイーツ」は「熾烈な」「不安な」「親孝行な」「入手困難な」でないとおかしいでしょう? 「の」でいい理由なんて思いつきません。
 決して聞き間違いではありませんよ。だって、「全長130メートルの船体がほぼ完全のまま沈んでいる」というテロップも見たことがあるのですから。「完全」は形容動詞の語幹ですが、「~の」という活用形はありません。ちなみに、名詞は「完全さ」で、「完全さの証明」「完全さの追求」というときは「の」です。ちゃんと「ほぼ完全なまま沈んでいる」でないといけないと感じますか?
 どんな戦い?→「熾烈な戦い」、どんな気持ち?→「不安な気持ち」、どんな人?→「親孝行な○○さん」、どんなスイーツ?→「入手困難なスイーツ」ですね。2008年7月6日に「不安な声」について書きましたが、「不安な気持ち」と「不安の声があがる」をちゃんと区別できますか? 感染していませんか?
コメント
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