うれしいお誘い
8月8日に取り上げた「急なお誘いだったのに、ありがとうございます」というセリフ、正しい表現は「急にお誘いしてすみません、ありがとうございます」なのですが、「お誘い」は「お買い物」とは違うということを分かってほしいと思います。
「お買い物」は、「お買い物ですか?」のように、他人の行為について言うのが自然ですが、「ええ、ちょっとそこまでお買い物」と言うのを誤りだとは言えません。でも、「お誘い」は違います。これは他人の行為に限ります。他人の「お誘い」を受けるのです。「お誘いする」は、「お誘い」を「する」ではなく、謙譲語の基本の形である「ご(お)~する」にのっとった「お誘いする」なのです。
というわけで、ざっと3グループに分けてそれぞれのイメージを書いてみました。
【めかすこと、さらうこと、絵を描くこと、出掛けること】
おめかし、おさらい、お絵描き、お出掛け ←「お」が付いて名詞に
めかす、さらう、描く、出掛ける ←1人でできる行為
【買い物、勉強、仕事、休み】
お買い物、お勉強、お仕事、お休み ←本来は他人の行為
買い物する、勉強する、仕事する、休む ←1人でできる行為
【誘い、話、教え、説明】
お誘い、お話、お教え、ご説明 ←他人の行為
誘う、話す、教える、説明する ←相手がいて成立する行為
このごろはアナウンサーでも「お出掛けしてみてはいかがでしょうか」なんて平気で言いますから、「お出掛け」を「おめかし」グループに加えましたが、本来は「お出掛けになってみてはいかがでしょうか」ですからね、同じではないのです <(`^´)>。
芸能人はみんな「一緒にお仕事ができてうれしい」というふうに言いますが、自分の行為について「お勉強、お仕事、お休み」なんて言うと、上品とかお茶目とかいうのを通り越して幼稚な印象になります。そして、幼稚を通り越してばかとしか言いようがないのが「お話(おはなし)」です。
羽鳥慎一は、「お話ししている」という謙譲の形を認識しておらず、ガキンチョみたいに「お話、している」という感覚で「お父さんがどんなことをおはなししているかというと」と言っています。「お話しする」と「お話、する」は違うのですが、違うということを元アナウンサーなのに分かっていません。
目上の人に向かって「お話というのは何でしょうか」とは言いますが、自分が目上の人に何か話したいときに「実は、お話があるのですが」なんて言ってはいけません。あくまでも目上の人の「お話」であって、自分の話は「話」です。表記は、「話し」ではありませんよ、「話」ですよ、「実は、話があるのですが」です。もっときちんと言うなら、「実は、お話ししたいことがあるのですが」です。「お話、したいこと」ではなく、「お話ししたいこと」ですよ。
「お父さんがどんなことをお話しになっているかというと」「お父さんがどんなことをお話しなさっているかというと」「お父さんがどんなお話をなさっているかというと」など、いろいろ言い方がありますが、放送業界の人たちは、「お」さえ付ければいい、敬語の基本なんてどうでもいいと思っていますね、困ったものです(ーー゛。
8月8日に取り上げた「急なお誘いだったのに、ありがとうございます」というセリフ、正しい表現は「急にお誘いしてすみません、ありがとうございます」なのですが、「お誘い」は「お買い物」とは違うということを分かってほしいと思います。
「お買い物」は、「お買い物ですか?」のように、他人の行為について言うのが自然ですが、「ええ、ちょっとそこまでお買い物」と言うのを誤りだとは言えません。でも、「お誘い」は違います。これは他人の行為に限ります。他人の「お誘い」を受けるのです。「お誘いする」は、「お誘い」を「する」ではなく、謙譲語の基本の形である「ご(お)~する」にのっとった「お誘いする」なのです。
というわけで、ざっと3グループに分けてそれぞれのイメージを書いてみました。
【めかすこと、さらうこと、絵を描くこと、出掛けること】
おめかし、おさらい、お絵描き、お出掛け ←「お」が付いて名詞に
めかす、さらう、描く、出掛ける ←1人でできる行為
【買い物、勉強、仕事、休み】
お買い物、お勉強、お仕事、お休み ←本来は他人の行為
買い物する、勉強する、仕事する、休む ←1人でできる行為
【誘い、話、教え、説明】
お誘い、お話、お教え、ご説明 ←他人の行為
誘う、話す、教える、説明する ←相手がいて成立する行為
このごろはアナウンサーでも「お出掛けしてみてはいかがでしょうか」なんて平気で言いますから、「お出掛け」を「おめかし」グループに加えましたが、本来は「お出掛けになってみてはいかがでしょうか」ですからね、同じではないのです <(`^´)>。
芸能人はみんな「一緒にお仕事ができてうれしい」というふうに言いますが、自分の行為について「お勉強、お仕事、お休み」なんて言うと、上品とかお茶目とかいうのを通り越して幼稚な印象になります。そして、幼稚を通り越してばかとしか言いようがないのが「お話(おはなし)」です。
羽鳥慎一は、「お話ししている」という謙譲の形を認識しておらず、ガキンチョみたいに「お話、している」という感覚で「お父さんがどんなことをおはなししているかというと」と言っています。「お話しする」と「お話、する」は違うのですが、違うということを元アナウンサーなのに分かっていません。
目上の人に向かって「お話というのは何でしょうか」とは言いますが、自分が目上の人に何か話したいときに「実は、お話があるのですが」なんて言ってはいけません。あくまでも目上の人の「お話」であって、自分の話は「話」です。表記は、「話し」ではありませんよ、「話」ですよ、「実は、話があるのですが」です。もっときちんと言うなら、「実は、お話ししたいことがあるのですが」です。「お話、したいこと」ではなく、「お話ししたいこと」ですよ。
「お父さんがどんなことをお話しになっているかというと」「お父さんがどんなことをお話しなさっているかというと」「お父さんがどんなお話をなさっているかというと」など、いろいろ言い方がありますが、放送業界の人たちは、「お」さえ付ければいい、敬語の基本なんてどうでもいいと思っていますね、困ったものです(ーー゛。