◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「箸を乗せておく」って?

2012-09-12 19:39:54 | 言葉についてあれこれ
                                     乗せる

 「行くのを辞める」など、「やめる(止める)」なのに「辞める」と書く人は多いのですが、「とくダネ!」のテロップも「水泳辞めちゃったら意味がない」で、やる気なし、漢字の知識もなし。なお、「止める」を「やめる」と読むのは常用漢字の音訓外なので、表記は「やめる」です。「辞める」と書くのは、「会社を辞める(辞職)」「委員を辞める(辞任)」、つまり、「~を辞する」というときですから、「水泳」は「やめる」ですね。
 「お皿の上に箸を乗せておく」「盆に食器を乗せる」という表記をあるコラムで見ましたが、「車に人を乗せる」「車に荷物を載せる」で、何でも「乗せる」でいいというわけではありません。「お皿の上に箸を載せておく」「盆に食器を載せる」です。「きじをのせる」も「記事を載せる」ですね。
 「○症候群についてお話していきます」は同じサイトの別のコラムで見たのですが、この人はしっかりした文章を書いていて、久しぶりに見た「ちゃんと書けている文章」なのですよ。なのに「お話して」だなんて実に惜しい(ーー゛。大人なら、いいかげんに「お話しする」という基本を分かってくださいよ。「おはなししていきます」は「お話ししていきます」であって、「お話、していきます」ではありません。
 「上手く行って無い」は、漢字を使いたいという気持ちは分かるのですが、読みにくい~(~_~;)。「じょうず」は「上手」、「へた」は「下手」ですが、「うまい」を「上手い」と書くのは当て字です。どうしても「上手い」と書きたい人は書けばいいですけれど、そうでなければ「うまい」です。
 「うまくいって」は「うまく行って」と書いても誤りだとは言えませんが、表記辞典では「~へ行く」「~が行く」と区別して「いく」です。都会へ行く、代表者が行く、やっていく、話していく、書いていく、暮らしていく、うまくいく、そうはいかない、ということで「うまくいって」です。
 「ない」も、「何も無い」「無い袖は振れぬ」「無くて七癖」などとは違い、やらない、書かない、高くない、寒くない、おいしくない、うまくいかない、やってない、書いてない、うまくいってない、これらは「無い」ではなく「ない」です。よって「うまくいってない」と書くことになります。
 「~して見たら」「思っても見ませんでした」という表記もよく見掛けますが、「~を見る」とは区別して「~してみたら」「思ってもみませんでした」です。「~を見る」の意味だから「見る」と書けばいいのに「みる」と書く人が増えている中、逆に「みる」でなければいけないところで「見る」と書く人もいるのですからねぇ、「~という見たいですね」なんてのも見ちゃったし~(ーー゛。
 「~と言うことは」は非常によく見ますし、いわゆる記者でも「~と言ったことで」「こう言った~」と書く人がいますが、「○さんが~と言った」とは区別して「~ということは」「~といったことで」「こういった~」と書きます。「遺留捜査」が終わってしまい、「~とだれかが言った」というセリフはもう聞けないのですね、残念。
コメント
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