◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「甘みに変わっていただ・・・」って?

2015-02-15 11:53:49 | めちゃくちゃな敬語
                                  言葉は正確に、だよね

 「加熱すればするほど甘みに変わっていただ・・・」と言ったので( ̄д ̄)ダラケッ! と思ったら、「変わっていただ・・・ん~・・・くれるので」と何とか言い直した! 本当にぎりぎりでしたけれど、言い直したのはいいですよ。まぁ、ね、そもそも「加熱すればするほど甘みに変わるので」と言えばいいだけですが。
 「唯一生き残っていただいているのは○○さん」と言ったのは「ワイド!スクランブル」のコメンテーターです。俳優として長年活躍した人が一人また一人とあの世へ行き、非常に残念だ、この世に残っているのは○○さんぐらい、ということらしいのですが、「~ていただく」症候群の患者って恐ろしいですね。
 芸能人にちゃんとした日本語を話せと言っても無理。いかに謙虚に見せるか、それだけを気にしているわけで、日本語としておかしくなっていることは気にしていません。多くの日本人がそうしたいいかげんな人たちの影響をもろに受けています。ちゃんと伝わるかどうかなんて気にしない、気にしていないからもろに影響を受ける、影響を受けてますます分からなくなる、気にならなくなる、まさに悪循環です。
 「香りを楽しんでいただきたいかたには傘の開いたものをお薦めします」と言った人、プロの料理人かな、「香りを楽しみたいかたには傘の開いたものをお薦めします」と言えばいいのです。そんな無理やり「いただきたい」なんて言わなくていいですから。どうしても「いただきたい」なら「お客様に香りを楽しんでいただきたいときは傘の開いたものをお薦めします」でしょ。これ、松茸の話です。
 「少しでも役立っていただければ」と言ったのは一般の人です。「あれで役に立つのかなぁ?」「いやいや、役立ってもらわないと困りますよ~」といったニュアンスで言うことはありますが、通常、「役立っていただく」とは言いません。「役に立つ」なら「少しでも役に立てば」ですし、「~ていただく」なら「少しでも役立てていただければ」ですし、何が(だれが)何の(だれの)役に立つのか、だれが何を役立てるのか、ちゃんと意識しないとちゃんと言えませんよ。
 「よくぞ聞いていただきました」だの「CMでご存じいただいております◇◇の」だの、「いただく」と続けること自体が無理なのに、それをおかしいと感じない人もいるのですからあきれます。「よくぞ聞いてくださいました」も「CMでご存じの◇◇の」もほとんど決まり文句ですよ、一度や二度は聞いたことがありますよね。
 「きょうの料理」を見ていて、この人、前に書いた「置いておきたいと思います」「切りたいと思います」「こちらのほう、盛り付けていきたいと思います」の講師だ、と気づいたのですが、今度は「入れていただいて」「混ぜていただいて」「焼いていただいて」の「いただいて」連発( ̄д ̄)! 連発はやめろ、連発は!
 「掛けていただいて、片方を普通に結んでいただいてちょっと長さを、胸元辺りまで持ってきていただいてそこにこれを入れるだけ、ちょっとタイのような雰囲気になりますよね。ここもちょっと調節していただいて上に持ってきていただいて、例えばこうちょっとずらしていただいて、こんなふうにしていただくと一気にゴージャスになりますよね。次は首に掛けていただいて、片方を長めにしていただきます」と言ったのは「イッピン」に出てきた一般の人ですが、もぉ~うんざり( ̄~ ̄)クヌヌゥ。
 ところで、金沢の老舗旅館を舞台に繰り広げられる嫁・姑バトルを楽しく描いた「花嫁のれん」という連続ドラマが放送されているのですが、これも、もう、見るのをやめますよ。今のは第4シリーズで、金沢女将塾というのを軸にストーリーが展開していくのですが、塾生の佑美が次々やらかすのが我慢できなくなってきて、あれで何ら罰を受けないってどういうこと? 女将塾なんてこの程度のものなんだなぁ~とあきれました。
 若い女性が女将修業をしているわけですから、そりゃぁいろいろ失敗はしますよ。だけど、佑美は、未熟さゆえに失敗するのではなく、性格が悪いから、悪いことだと分かっているのにやっちゃう、というわけで、そういうのは幾ら修業しても直りません。ましてや、この旅館の女将である奈緒子(女将塾の発案者)とほかの塾生は佑美をかばうばかりで、罰を与えることは全くないのですから直るわけがありません。
 蕎麦アレルギーの客に蕎麦を使った料理を出すという大失態により、同じ塾生の真知子が女将塾から追放されるということがありました。客から「蕎麦アレルギーだ」と聞いた真知子は、担当の佑美に「蕎麦がだめらしいから、板長に伝えて」と言った。そのため、危険性をあまり感じなかった佑美は、つい、板長に伝えるのを忘れた。つまり、二人のミスが重なったことが原因だったのですが、真知子は佑美をかばってその事実を隠し、一人だけ罰を受けたのです。
 後日、真相を知った奈緒子が裏でうまく立ち回って真知子の女将塾復帰を実現させますが、佑美はというと、やはり何ら罰を受けていません。その後も、真知子に対する嫉妬心から、真知子を陥れようとして、真知子が担当するお客様に出す料理を予定外のものにすり替えるなどという意地悪なことをやったのですよ。なのに、またもや奈緒子と塾生は佑美をかばい、罰しない。あのね、幾ら何でもおかしいですよ。
 女将修業中の身として、という以前に、人としてやってはいけないことを繰り返しやらかすのに、奈緒子は佑美に修業を続けさせたいという気持ちが非常に強く、ひたすら佑美をかばい、励ますのです。でも、ここまで来ると、それがいいことだとは思えません。もちろん、これはドラマですから、この後どんな展開が待っているか分かりませんよ、納得できる結末が用意されているのかもしれませんが、もう我慢の限界です。
 そもそもあんな人が金沢女将塾の塾生? ありえない! たとえドラマでも、作り話でも、ありえない! 程度が低すぎる! あんなに性格が悪くて、お客様を第一に考えてもてなすなんてこと、できる? 無理! 絶対に無理!!! 甘すぎる! これがドラマのいやらしさ? ドラマを作っている人たちの力の限界?
コメント
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