◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「おはなししている時間は」の表記

2016-01-24 12:26:35 | 気になる言葉、具体例
                                  綿のかまくら

 「まとまった雪が降っていただいて、お客様をお呼びできる状態になっていただかないと」と言ったのは、テレビの取材に答えたスキー場関係者です。テレビですからね、そりゃぁ緊張しますよ、しますがね、「まとまった雪が降ってお客様をお呼びできる状態になってもらわないと」と言えば十分ですよ。
 雪といえば、石川県の天気予報の「山地の多い所では60センチの積雪」がおかしくなっています。どこの局も、どのアナウンサーも「山地の多い所では、60センチの積雪」で、ちゃんと「山地の、多い所では60センチの積雪」と聞こえるように原稿を読む人がいないのです。どうなってるの┐( ̄д ̄)г?
 ちらっと見た「サンデージャポン」で、あれはリポーターでしょうか、「なんでお父さんをお呼びしたんですか」と言いましたよ( ̄д ̄)! こう尋ねた相手は女子高生で、その女子高生が勝手に自分の父親に電話を掛けて取材の場に呼んだのです。仲良し親子で、娘がお父さんを「お呼びした」はおかしいですし、さらに、それをインタビュアーであるリポーターが言うのはすご~くおかしいですよ。
 敬語を理解していないのに無理して敬語で言おうとするのはなぜ? 敬語が必要なら学べばいいのに、それもしないでテキトーな“敬語もどき”でしゃべる人たち、どうかしていますよ。取材相手とはいえ、高校生に「なぜお父様をお呼びになったのですか」とは言いにくいですから、「なぜお父さんを呼んだんですか」と言えばいいのではないですかね、「サンデージャポン」なんだしぃ。
 「実在するお話ですもんね」と言ったのは「オトナヘノベル」のヒャダイン、多分。たまたま番組冒頭を見た(聞こえた)だけなので“多分”ですが。これは「実際にあったことですもんね」という意味なのですが、「実際にあったこと」を「実在するお話」なんて言わないでほしいですよ。大体、このごろみんな「おはなし」と言いますが、そのせいで敬語が余計におかしくなっているのですよ。
 「相棒」season12#11「デイドリーム」(脚本 高橋悠也)でも「シンポジウムの準備がありますので おはなししている時間は・・・」というセリフを聞きました。事件の真相にたどり着いた杉下右京が西牟田叶絵(雛形あきこ)に話をしに来た、それに対して言うべきセリフは「シンポジウムの準備がありますので(杉下さんと)話をしている時間は・・・」です。まだ何も分からない中で西牟田に話を聞きに来たという状況なら「おはなししている時間は・・・」でもいいのですが。
 同じ「おはなししている時間は」でも、右京が話をしに来たときと話を聞きに来たときとでは表記が違います。前者なら、本来「話を」と言うべきところで「お話」と言っているパターンで、紛らわしい、不必要な美化語です。後者なら「お話ししている時間は」で、右京に対する謙譲語Ⅰです。いいかげん「話をしている時間」と「お話ししている時間」の違いを分かってほしいものです。
 「話」と「話さない、話し、話す、話せ」の「話し」を区別できていない人が多すぎます。「何でそんな話し しなきゃいけないの」というテロップを「情報7daysニュースキャスター」で見ました。「話し」と「しなきゃいけないの」の間に半角スペースを入れてあって、わざわざそこで区切ったのだと分かるのですが、そんなことをするくらいなら「話を」と書けばいいでしょ!?
 「なんでそんなはなししなきゃいけないの」が「なんでそんな話をしなきゃいけないの」から「を」が抜けただけだというのは分かっている、まぁね、これは「おはなししている時間は」よりずっと簡単で、誰でも分かることですからね。でも、テロップを入力する職業に就いている人でも「話」と「話し」の違いは理解していない?
 「相棒」season12#15「見知らぬ共犯者」(脚本 山本むつみ)でも、冒頭の劇(セリフは英語)のシーンで画面に出た和訳テロップが「何の話しかね?」「マシュー、そんな話はもういい」で、揺れています。合っているのは“偶然”ですよね、理解して書き分けているわけではないですよね。ちゃんと「話」と「話し」を区別して表記できる作業者は、放送業界にはいないのでしょうか┐( ̄д ̄)г。
コメント
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