◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「天皇陛下とお話しできる」って?

2016-05-08 09:33:07 | めちゃくちゃな敬語
                                  話がしたい

 「林先生が驚く 初耳学!」のテロップとナレーションにはあきれ果てました。でたらめ敬語、いえ、敬語というより、もはや日本語として成立していません。「天皇陛下とお話しできる意外な方法が!」って・・・、そのうえ、竹田恒泰までもが「10人ぐらいの一般のかたが両陛下とおはなしする機会を得ています」だなんて( ̄д ̄)!
 しかも、一般の人が「両陛下と2分程おはなしをする時間がありまして」と言っている場面で出たテロップが「両陛下と2分程お話しする時間がありまして」ですからね、最悪!!! 考えてみてください、ちょっと前まで、みんな「~と話をする」と言っていたでしょう? 「会話する」という意味ですよ。
 この人は「会話する」という意味で「おはなしをする」と言っているのです。なにしろテレビの取材ですから、緊張もしているでしょうし、「話をする」では丁寧さが足りないと感じて「お」を付けて「お話をする」と言ったのでしょう、気持ちは分かります。ですから、「お話しする」とは明らかに違います。なのに、なぜ「はなしを」が「おはなし」になってしまうのですか? なぜ「話をする」が「お話しする」になるのですか?
 目上の○○さんに対して、ある事柄について説明するという場合、「○○さんに事情をお話しする」と表現します。○○さんの話も聞く、つまり、会話するという場合、「○○さんと話をする」で、「に」ではなく「と」です。「天皇陛下と」「両陛下と」ということは、一方的に説明するだけではなく、会話することができるという話ですよね。だったら「会話できる」「会話する」「話をする」と言えばいいじゃないですか。
 「話」と「話し」、「お話、する」と「お話しする」、「お話、する」と「話をする」、ちゃんと区別していますか? 一般の人が書いた文章の中に「そのような方とお話すると判るのですが」という記述があるのを見たことがありますが、この人は日ごろからこういう話し方をしているのでしょうか、ガキですね┐( ̄д ̄)г。「そういう人と話をすると分かるのですが」と書いたほうがよほど大人ですよ。
 そういえば・・・、田中みな実(フリーアナウンサー)はいつも「ツチノコのお写真こちらです」「大腸黒皮症のお写真こちらです」と言いますが、「ツチノコの写真がこちらです」「大腸黒皮症の写真がこちらです」と言わなければいけないのですよ。「~を」「~が」と言わずに「お~」と言い、それで丁寧さや敬意を表しているつもり、そういう勘違いをしている人が多いようです。
 「よくお手伝いしてくれます」と言ったのは一般の人ですが、どういう場面を想像しますか? 話し手は母親で、子どもが家事を手伝ってくれる、私はそのように想像します。「お片付けしてちょうだいね」と同じですよ。でも、この場合、手伝ってくれるのは大人なので、「よく手伝いをしてくれます」もしくは「よく手伝ってくれます」です。
 ところで、「99.9-刑事専門弁護士-」(脚本 宇田学)は面白いですね(⌒・⌒)。しかぁ~し、第1話で、容疑者の妻が弁護士に向かって「どうか、どうかあの人を助けてあげてください」と言ったのが・・・( ̄д ̄)! 深々と頭を下げて「お願いします」と何度も繰り返す姿にこのセリフは合いません。加藤貴子(女優)も、「助けてあげて」はおかしいと感じないなんて、いけませんねぇ。
 相手は、殺人の容疑で捕まった夫を救ってくれるかもしれない“弁護士先生様”ですから、「どうか、どうかあの人を助けてやってください」でしょ! 子ども(容疑者の息子)が「お姉ちゃん(女性の弁護士)、パパを助けてあげて」と泣きながら言ったのは、まぁ、しかたないですけどね。第3話では、会社の金を盗んだ容疑で捕まった女性の母親が「どうか、娘を助けてやってください、よろしくお願いします」と言いましたが、これはいいですよ、よかった、よかった。
コメント
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