◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「追い抜いたドライバーが怒り」って?

2023-04-16 09:40:39 | 言葉についてあれこれ
                                  自動運転だし

 「前の車を追い抜いた際に追い抜いたドライバーが怒り、あおり運転を経験したという」(2020/8/5 16:00 日刊大衆)って? 「あおり運転を経験した」ですよ、あおり運転をしたのは誰? 前の車を追い抜いたら「抜かれたドライバー」があおってきたのです。これぐらいちゃんと書けなくてどうする?
 「職場を仕切っている女性社員のことを『お局様』と言われていますよね」は「gooいまトピライフ」の要約(2021/5/25 9:03)です。「お局様」と言っているのは誰? 言われているのは「職場を仕切っている女性社員」ですね。「…女性社員のことを『お局様』と言いますよね」か「…女性社員は『お局様』と言われていますよね」でしょ!
 「公開された動画には、スーパーで“マスクなし”で買い物をする女性が写されている」(2021/9/18 14:38 COURRiER Japon)は「映っている」です。「上司から自販機でジュースを買ってくれるといわれた場面」は一般人の文ですが、「上司から自販機でジュースを買ってあげると言われた場面」です。
 「突然キレはじめハヤシライスをシンクにぶちまかれ、その足で同居の義母の部屋へ行き、なぜか激怒した義母と旦那にカレーじゃない理由を詰められて泣いたことがあります」という一般人のツイートが何かの記事に載っていたのですが、キレはじめ、ぶちまかれ、行き、詰められて泣いた?
 夕食がカレーでないことに切れた旦那、ガキですね。しかしまぁ、こうまで主体を意識しないで書くなんて( ̄" ̄)。「突然切れ始め、ハヤシライスをシンクにぶちまけ、その足で同居の義母の部屋へ行きました。私は、なぜか激怒した義母と旦那に“カレーじゃない理由”を問い詰められて泣きました。そんな経験があります」ですね。
 「医師は重々しい雰囲気で『非常に言いにくいのですが、息子さんはがんにかかっていると思われます』と伝えられ、ジルさんと夫は愕然としたという(中略)がんは肝臓にも移転し」(2021/11/14 4:45 Sirabee)、「医師は…伝えられ」って、たった1行半の中で主体不明になって、「移転」も変だし。
 「伝えられ」に続くのは「ジルさんと夫」ですから、「伝えられ」をそのままにして修正すると「重々しい雰囲気で医師から『非常に言いにくいのですが、息子さんはがんにかかっていると思われます』と伝えられ、ジルさんと夫は愕然としたという(中略)がんは肝臓にも転移し」です。
 「クレ子さんに突き飛ばされ、1枚の千円札を叩き付けられたカモ田さん。すると、そそくさに逃げ去っていきました」(2021/11/26 ベビーカレンダー)、逃げたのは誰? まず、「そそくさに」ではなく「そそくさと」で、その雰囲気から想像すると逃げたのはカモ田ということになりますが、この場面に「そそくさと」は合わないのです。
 カモ田さんがクレ子に「貸したお金を返してほしい」と言ったら、クレ子は千円札を投げて逃げた、貸したお金は1000円ではなく、それ以上、ということで、「クレ子さんに突き飛ばされ、1枚の千円札をたたき付けられたカモ田さん。そして、クレ子さんは逃げ去っていきました」でしょ。
 「『昔を水に流して妻に母の世話をしてほしい』こう投稿したのは、40代の男性です。男性は、結婚をして3年間は私の実家で同居をしていたものの、『母が妻に辛くあたった事から妻はうつになり』、別居に至りました」(2021/12/28 15:59 大手小町)、「私」って? 中途半端な二重鉤括弧は登場人物をどう書くか悩んだ結果、ですよね。
 男性の投稿文らしき部分も修正しますよ。「『昔のことは水に流して、妻に母の世話をしてほしい』と投稿したのは40代の男性です。男性は、結婚して3年間は男性の実家で同居していましたが、『母が妻につらく当たったことから妻はうつになり…』ということで別居に至ったようです」でしょ。
 「窓口の人が『ICチップの部分に消しゴムかけると超絶高確率で復活しますよ』と教わり」(2021/12/28 22:30 gooいまトピ編集部)って、これを書いた人、誤字、脱字、重複・・・、いつもやっつけですが、こういうのも書けないのですね( ̄" ̄)。「人が」なら「教えてくれて」でしょ。
 「荷物が届かないことを不審に思った女性が、販売先に『荷物が届かない』と相談したところ、被害が判明した」(2020/12/27 10:39 読売新聞オンライン)って、記者が書いたのか( ̄д ̄)!? 置き配荷物の盗難被害が相次いでいるという話ですが、その品物を販売した企業は「販売元」ですよ。
 以前、「ペットのミニブタ、譲り受け先の夫婦に食べられてしまう」(2018/2/26 18:28 ハフポスト日本版)と「ジェイディンさんは取材先のレポーターに『混乱が生じてしまった』と」(2019/2/26 4:00 Techinsight)という「先」がおかしい例を挙げたことがありますが、さらにひどくなっています。
 「通常連携をとっているアメリカ、そしてヨーロッパの支援先が自国の対応で手いっぱいになっている中、アフリカ現地に出向いてくれる医師や医療用衛生用品の確保、ロックダウンが起こった場合の食糧確保と、考えねばならないことが山積みだ」(2020/4/13 5:45 東洋経済オンライン)って?
 アメリカがヨーロッパのどこかの国を支援している? 「アフリカ現地に」って? 医療支援、食糧確保・・・、「ヨーロッパの支援先」とは? 違いますね。アメリカやヨーロッパの幾つかの国がアフリカに対してさまざまな支援をするということで、「支援の担い手である国々」ですね。こういうの、チェックできないのですか?
 詐欺や強盗の“電話”に気をつけようという趣旨の記事(2020/12/29 14:54 YAHOO!ニュース 多田文明)にもおかしな「先」がありました。役所や警察からの電話だと思い込ませ、よどみなく話をして不安がらせ、急に「どう思いますか?」と質問する、それがターゲット(電話を受けた高齢者)の思考をストップさせる手法なのだそうです。
 文中に「私もいろんな勧誘先でこの手を使われました」とあったのですが、この「私」は多田文明、本人で、テレビでちょいちょい見掛ける人です。「勧誘先」は「ターゲット」でしょ。「勧誘者」と一緒に「いろんな勧誘先」に行って詐欺行為そのものを横で見学したのか? だとすると「使われました」が変ですね、「使うのを見ました」でしょう?
 ライターのプロフィールに「悪質商法に誘われたらついていき、100以上の勧誘先を潜入取材した」とあり、やっと分かりました。「使われました」と「誘われたらついていき…潜入取材した」とを考え合わせると、「勧誘先」ではなく「勧誘者」で、自分がターゲットになってみるということですね。
 「悪質商法に誘われたらついていき、100以上の勧誘者(詐欺グループ)を潜入取材した」わけで、その経験を「私もいろいろな勧誘者にこの手を使われました」と書いているのでしょう。それで、実体験として“効果的な手法”だから皆さん気をつけて、と言っているのです。そういうことですので、皆さん、気をつけましょう。
コメント
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