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東京もようやく日差しが戻り、ずっと延期していた東京都写真美術館へ。実は2014年から改装の為、休館していたが、ようやく9月に完成、その最初の展覧会である『世界報道写真展2016』に足を運ぶ。
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恵比寿ガーデンプレイスの中にあるこの美術館まで恵比寿駅からは約10分、しかし、歩く歩道があり、それも冷暖房完備のため、比較的楽に現地に到着。外観はそれほど変わっていないが、中は明るくなっていた。
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地下1階まで階段を降り、展覧会に行く。以前に来た際にはガラガラだったが、今回はかなり出足がいい。入ってすぐにシリア難民、IS、ハンガリーに入国できない難民の姿とかなり重いテーマが続くが、カラー写真で現実を直視することが、最大のインパクトのような気がする。他にもリベリアの少年や北朝鮮の風景、ダラスの人種差別に抗議する少年と警官の睨みあいなど政治的なテーマに加え、オーストラリアの巨大な雹を降らせる雲やメキシコ コリマ山という火山の爆発、ネパールの地震など自然災害を扱ったものも目を引く。
さらに中国の天津市のスモッグ、天津市のコンテナ爆発による大きな穴など中国の報道されない事実も写真が事実を伝える。
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自然の部では、オランウータンとカメレオン。その絶滅危機もあるが、写真の瞬間を捉えた技術と色の鮮やかさに暫く足を止めて見入ってしまう。この辺りは素人ゆえかも。
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新聞やテレビには流れない事実を知ることの大切さ、カメラマンの勇気は見るべきもの。特にポスターに乗せられた『セルビアとハンガリー国境を越えようとする難民男性と子供』という作品、有刺鉄線ができる前に生への脱出を試みる姿には絵では描けない強いメッセージを感じることができた。全てで62作品、流石に何も秀作である。