映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」を観た。
面白い。アイデアの斬新さは、一世を風靡した2018年の映画「カメラを止めるな!」を彷彿させる。あちらがややエキセントリックな登場人物だったのに対して、こちらは徹底的に常識的な普通人ばかりだ。状況が異常だから、登場人物を正常な人ばかりにすることで、対比が際立つ。正常性バイアスを覆すのは並大抵ではない努力が必要なことも分かる。
仕事で会社に泊まった朝からのスタートである。鳩が眠気を吹き飛ばす。徐々に正常性バイアスから脱して現実を理解しはじめる展開は、とてもリアルで納得できる。異常事態でも企業のヒエラルキーには従わなければならない。稟議書の回付と同じだ。異常事態でも自分のキャリアのために必死な吉川さんの姿が哀れを誘う。
意外な展開がいくつかあって、驚きながらも物語は大団円に向かって進んでいく。本当に大団円が迎えられるのかと、観客が疑ってしまうようなシーンもある。なかなか洒落た演出だ。企業の中間管理職の典型みたいなマキタスポーツの永久部長の印象が、最初と最後でガラッと変わるのもいい。とても気持ちのいいラストには、ああ、面白かったと思わせるスッキリ感がある。
寝落ちや寝ぼけ眼のシーンが多く、そのたびにブラームスの子守唄が流れるのがケッサクだ。もう一度観ても、多分面白いと思う。日本のエンタテインメント作品としては出色の作品である。