初夏の緑を、目の保養にとね眺めていた。はるかの海を、見ていて、あの、福島第一原発の事故を、忌々しく、思い出していた。前回と同じ日に、カシャッとした。俳句の、「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」。山ホトトギスの鳴き声も、小鳥のさえずりも、聞こえない。静寂。若い女性が、拝受したお札を抱え、迎えの人に、手をふっているのを、ぼんやりと、見ていた。「安産」を、祈祷したのだろう、小走りに、迎いの車には、若い女性の父親なのだろうか、窓から手を振っていた。にこにこ顔は、孫の誕生を、待っているのだか。
街中の喧騒を逃れ、写経へ行った。閼伽井嶽の境内の木々が、新緑で眩しい。はるか水平線は、かすみと、撮影者の腕の悪さで、ぼんやりだ。拡大してみると、沿岸の建物が見える。風景を楽しんでみても、あの大震災と、原発事故を、思い出す。原発の、長い年月がかかる廃炉の作業が、行われている。仕事で足しげく行っていた、原発立地の町の取引先は、もういない。仕事以外のことでも、懇意をしていた。その、おしゃべりも、無くなった。ここのところ、何回か、「どぉどぉどぉどぉどぉぉっ」って、ゆすられる小さな地震に、おどかされている。地震列島の、日本各地、災害がないことを祈っている。