昔し。習字の塾に十数年、通っていた。そのあと、パソコンを導入し、社業に専念。座興で、マウスで文字を描いた。時を経て、手元にあった色紙に、漢字を書いて、拙いブログに載せた。こんなことから、趣味というほどのものではないが、文字に、ちょっと興味がある。書家の石川九楊著の「書を学ぶ」に、「落書きこそは、書の出発である」とある。「自分の落書きの中に、ふと興味を覚えたり---」とある。また、「落書きは、書の重大な秘密を握っている。落書きを楽しむことは、書の根幹を握っている」ともある。画像は、かれこれ、十年前に、退屈まぎれに、ブログに載せようと書いたもの。さらーっと書いた、落書きだぁと、ながめている。今、ブログに載せたものを主にして、小冊子を作る思案をしている。「ヘボ筆字、ぽつぽつ記」なんて、誰が目を通してくれるのかぁだが、半生の楽しみをするのも、いいかぁでいる。
四月の始めに、久しぶりに外へ出た。きょろきょろと見回していたが、「家ちゃ帰えっぺぇ」だった。ある日、眠たいようなので、横向きに、ヘルパーさんに、寝かせてもらった。「じっちさんと、ばっはぁさんとこへ、行くんたぁ」と。「あの世さ行くんだぁ」と、寂しげにしゃべっている。こんな時は、「みちこぉって、ばっぱぁさんが来るから、待つってなぁ」と、声をかける。「じっちさんは、千治げぇ、ばっぱぁさんは、おこうって、いうのげぇ」って、相手をする。「あの世さ、行くべぇ、あの世さ行くんだぁ」と、繰り返している。「ばあちゃんの家は、ここだよぉ。みんな居っかんねぇ」と、相手をする。こっくりと、うなずいてはいるが、目に涙をにじませて、寂しげな顔をしている。「みんな居っから、少し眠むりなぁ」と。頭をなででやる。時が過ぎて、後で聞くと、すうすうっと、寝息をしていたと。八月に、百四歳になる。親や兄姉に、何か助けを乞うっているのかも。