○京極夏彦『鉄鼠の檻』 講談社 2003.12
ああ、ついに読んでしまった。京極さんの名前はずっと知っていた。”信頼できるスジ”から、ぜったい面白いよ、(あなたなら)ハマるよ、と聞かされて幾年。そう言われると、手が出せなくなるタイプなのである、私は。
はじめは、かなり警戒しながら読み始めた。冒頭のドタバタは、ふうむ、これがエンターテイメント小説ってものか、と思ったが、不慣れなもので、文字を追うのがめんどくさくてしんどかった。しかし、登場人物の会話が、仏教史の講義じみてきて、紙面に漢字が多くなるにつれて、面白くなった。
しかし、私は寺によく行くし、最近は美術史の関係から、禅宗にも興味を持っているので面白かったけど、こんな小難しい小説がベストセラー上位にランキングされるわけ? すごいなあ、日本のミステリー読者って。なんだか、変な感心をしてしまった。
この1冊、主人公の京極堂は、あまり活躍しない。ほかもこんなものなのかな? それから、難をいうと、箱根の山奥の忘れられた禅寺という舞台があまりに特殊すぎて、昭和20年代という時代設定が、あまり生きてこない。たぶんほかの連作では、もう少し当時の社会世相や雰囲気が出ているのではないかと思う。
そうねえ、次は、私の住んでいた逗子が舞台だという『狂骨の夢』でも読んでみようかな。
ああ、ついに読んでしまった。京極さんの名前はずっと知っていた。”信頼できるスジ”から、ぜったい面白いよ、(あなたなら)ハマるよ、と聞かされて幾年。そう言われると、手が出せなくなるタイプなのである、私は。
はじめは、かなり警戒しながら読み始めた。冒頭のドタバタは、ふうむ、これがエンターテイメント小説ってものか、と思ったが、不慣れなもので、文字を追うのがめんどくさくてしんどかった。しかし、登場人物の会話が、仏教史の講義じみてきて、紙面に漢字が多くなるにつれて、面白くなった。
しかし、私は寺によく行くし、最近は美術史の関係から、禅宗にも興味を持っているので面白かったけど、こんな小難しい小説がベストセラー上位にランキングされるわけ? すごいなあ、日本のミステリー読者って。なんだか、変な感心をしてしまった。
この1冊、主人公の京極堂は、あまり活躍しない。ほかもこんなものなのかな? それから、難をいうと、箱根の山奥の忘れられた禅寺という舞台があまりに特殊すぎて、昭和20年代という時代設定が、あまり生きてこない。たぶんほかの連作では、もう少し当時の社会世相や雰囲気が出ているのではないかと思う。
そうねえ、次は、私の住んでいた逗子が舞台だという『狂骨の夢』でも読んでみようかな。