■国立故宮博物院(台北市士林区至善路)
【202,210,212室】「心を伝える書と絵-書画に見える人情味」(2025年1月10日~4月13日)
品物や風景に託した思い、旅立ちや長寿の祝いなど、気持ちの伝達を中心に文字や絵画で心情を表現した書画作品を展示する。
明・張宏の『石屑山図』。大幅なので写真は一部だけ。この人は、大和文華館所蔵の『越中真景図冊』で名前を覚えた画家で大好き。
明・宣宗(宣徳帝)の『画寿星』。『明史』には宣徳帝が臣下に「寿星図」を賜った事が載るという。宣徳帝、絵画に堪能(しかもネコの絵多し)という逸話に加え、小説『両京十五日』ですっかり親近感を抱くようになった。この寿老人は、頭の長さが人間的。
【208室】「国宝鑑賞」
明・沈周(1427-1509)の『写生冊』を展示。花果や家禽、蝦蟹、猫、驢馬など日常的な景物を描いた作品で、特に生き生きした鳥や動物が楽しい。中国ドラマで覚えた文人政治家・高士奇の題跋(写真パネルのみ展示)があると知って、またテンションが上がってしまった。
【201,205,207室】「土の百変化-院蔵陶磁コレクション」
【202室】「巨幅の名作」
【203室】「目で見る紅楼夢」
【204,206室】「筆墨は語る-故宮書法鑑賞ガイド」
【300,301室】「すてきな魔法のお部屋─故宮のロココ」
今季最も「売り」の展示らしく、展示室全体が女子好みのかわいい別世界にしつらえられていた。展示品(香水瓶、拡大鏡、置時計、化粧小箱など)は、多くが「フランス製」とあったが、管理番号が「故」で始まっているところを見ると、もともと故宮の(つまり清朝宮廷の)所蔵品だったようだ。
【302室】「南北故宮 国宝薈萃」
いつも大混雑の特別室。今季は『肉形石』と『玉〔天地人〕三連環』を展示。『翠玉白菜』は南部院区に出張中だった。
【303室】「愛好家から見た硯の美」
蘇軾や米芾など「硯痴」と呼ばれた人々を惹きつけた硯の魅力を鑑賞する。これは五色の墨。
【304室】「祭礼と戦い-古代武器攻略」
石器・玉器をルーツとして、剣、矛、弓矢(弩)など青銅兵器の誕生と発展を概観する。展示室内にデジタルのシューティングゲームのコーナーもあって面白かった。
【305,307室】「古代青銅器の輝き-院蔵銅器精華展」
【306,308室】「敬天格物-院蔵玉器精華展」
以上、常設展示エリアをショートカットしたおかげで、なんとか3時間(9~12時)で、ひととおり参観することができた。本館地下1階正面のバス停でMRT剣南路駅行きのバスを待つ。前の晩に、故宮博物院から中央研究院歴史文物陳列館への行き方を調べたところ、剣南路駅からMRT文湖線に乗って南港展覧館に出るのがいちばん早そうだったのだ。
乗客の多い士林駅行きのバスが出たあと、続いてやってきた剣南路駅行き「棕20」はミニバス。私のほか、数名が乗車した。初めて乗る路線だが、悠遊カードを持っているので問題ないだろうとタカをくくっていたら、普通の路線バスと違って、あまりちゃんとした停留所の案内がない。だんだん乗客が減って不安になってきたので、おそるおそる運転手さんに声をかけたら、MRTは次、下りて後方、ということを身振りつきで教えてくれてホッとした。ありがとうございます。
そして剣南路駅からMRT終点の南港展覧館駅へ。車窓からは大きな湖(大埤湖)のある碧湖公園の眺望が楽しめた。次は遊びに来てみようかな。南港展覧館駅からは、前回(2018年)の記憶をたぐりよせ、中研路方面に向かうバスに乗車、歴史文物陳列館を目指した。
(続く)