〇弥生美術館 『いとしのレトロ玩具-もう逢えないと思ってた、がここにある-』(2023年7月1日~9月24日)
本展は、20世紀日本の玩具界に訪れた大きな二つの変革(時代の精神・価値観といった文化的変革、テクノロジーの発達による変革)を軸に、遊び心と夢にあふれたレトロ玩具を紹介し、玩具史に今も燦然と輝く100年間のムーブメントを追う。
かなり幅広い時代を扱っているので、世代によって「なつかしい」と感じる対象は異なると思うが、私の場合、まず、なつかしい記憶がよみがえったのはこれ。1960~70年代に販売されていた「〇〇やさん」シリーズ。正確には、増田屋(マスダヤ)の「社会科玩具シリーズ」というらしい。現実にある、あるいはありそうな、おしゃれなパッケージを再現した、ミニサイズの缶詰やジュースの瓶、砂糖やバターの箱などが大好きだった。
上の「〇〇やさん」シリーズは、特別な機会におもちゃやさんで買ってもらうものだった。母方のおばあちゃんのうちに遊びに行くと、おもちゃやさんか本屋さんで、好きなものを買ってもらえた。
それとは別に、私の生まれ育った町では、五の日が水天宮の縁日で、夏の時期は商店街に露店が並んだ。駄菓子や金魚、ヨーヨー、鈴虫やカブトムシを売るお店に混じって、セルロイドのままごと道具を売るお店もあった。1つ10円か20円くらいだったように思う。たとえば今日は3つまで買っていいと言われると、大きな皿か、鍋か、それともアイスクリームのカップか、じっくり考えて買ってもらった。そして、何も載っていない皿とコップで、飽きずにままごとあそびをしていたと思う。
これは1969年発売の「ママレンジ」! 電気コンロ機能を備えており、付属のフライパンで、実際に小さなホットケーキを焼けるというのが売りだった。欲しくてたまらなかったが、母親には「ホットケーキなら台所のコンロで焼けばよい」と言われて、買ってもらえなかった。
これは1967年発売の初代リカちゃんハウス。持っていた、なつかしいなあ。あと、1970年代初頭に登場した、ピンクの屋根で、左右に開くタイプのリカちゃんトリオハウスも持っていた。
リカちゃん(1967年発売)を買ってもらったのがいくつのときだったかは覚えていないが、もっと幼い頃のお気に入り玩具は、ぬりえと紙製の着せ替え人形だった。この前後を貼り合わせるタイプの着せ替え人形、おばあちゃんに手伝ってもらって遊んだなあ。なつかしい。
当たり前だが、子どもの頃は、自分の遊んでいる玩具に「レトロ」なんて冠称がつくとは、考えもしなかった。いまのおもちゃも、やがて懐かしがられるようになるのだろうな。