日本百名山の中でも、余りにも長い登路で容易に人を寄せ付けない、秘境の山『平ヶ岳』(標高 2141m)に行って来ました。
登山愛好者って変な人種で、どんなに辛く厳しい思いをしても、一瞬の山岳風景や 高山植物で忘れてしまう。 本当に単純明快な人たちが多いのではないでしょうか そうですよね? そうでないと何度も辛い思いを経験しながら「さて!次はどこへ行こうか?」何て普通は考えないですからね。
その1人なんですが、長い登路の果てに展開する無数の湿原と池塘に覆われた「山上の楽園」何て言われると、もう自分の目で確かめるしかありません。 そんなことが切っ掛けで、辛い思いをして来ました。
7月24日(金)いつもよりゆっくり、秦野中井ICを8時40分に乗り、圏央道から関越道の小出ICまで走り、12時41分に降りました。 当地は朝から暑くて参りましたが、上越方面の天気は怪しく、関越トンネルを出たら天気は一変し、暗雲のした 雨が降ったり止んだりの状況でした。
小出ICを出てから国道352号線を進み、大湯温泉辺りから奥只見シルバーラインに入りました。 全長22kmの内18kmがトンネルで、昭和32年に約3年の歳月をかけて完成したそうです。未だに残るゴツゴツした岩肌が大工事を物語り、余りの長さに驚きました。 そのトンネルの中間点を出て今日の宿、銀山平温泉「奥只見山荘」に14時50分に到着。 部屋に荷を置き、再びバスでぶらり「奥只見湖」の見学に出てみました。 タコが大きく足を広げたような大きな湖です。
奥只見山荘で、男子はログハウスのコテージに泊まり、夜中に綺麗な星空を見ることができましたが、余りの静けさに良く眠れませんでした。
ウトウトしながら3時起床。 出発の準備を始めた。 本館に行き朝食のお弁当を受け取りザックに収納、暑さが予想されたので水0.5Lを5本用意した。 マイクロバスの出発は3時50分。 3時半には全員本館前に集合した。
今回の登山ルートは一般のガイドブックには出ていない、平ヶ岳(ひらがたけ)へ行く最短のルートを選択。
普通は「鷹ノ巣」から山頂を目指すようだが、私たちは銀山平温泉から宿のマイクロで、更に1時間半山奥へ林道を登り、中ノ岐(なかのまた)登山口に向う。 途中の渓谷美は素晴らしかった。5時20分到着。
ここへ来るには途中のゲートを開けないと林道に入れず、入るのは宿のマイクロのみ、今日は3台で同時に約50名位が中ノ岐から入山した。
登山口出発5時35分。5分ほど進んで沢を渡り、山頂への最短距離が故に急登が始まる。
体調いまいちの方が居たので、20分間隔で小休止を入れた。 6時15分、大きな五葉松が有る回りが少し広かったので、休憩兼朝食とした。 水分補給もこまめに行ってもらう。6時半出発。
急登は続くも樹林帯の中であり、時間的にもまだ冷え込みがあり日差しによる辛さはなかった。 ただ前日の雨により木の根、岩等によるスリップには注意して頂いた。 また極端に遅れる方もなく、しっかり前に付いて下さり、ほぼ予定通りのタイムで進行した。
「急登終了まで、あと1時間」の標示板に励まされ頑張る。 急に明るい平坦な尾根筋に出る。ここが池ノ岳 8時20分着。
森林限界を抜けたようで登山道が木道に変わった。 また景色も樹林帯内の狭苦しい登山道が、急に明るくなり回りの山々の稜線が見え、湿原や池塘も現れた。
これから多少のアップダウンを繰り返しながら尾根上の散策である。 奇岩の「玉子石」着 8時半。 風化が進んでおり、危険なので近づかない様にとの警告あり。自然て不思議ですね。
玉子石から戻り、平ヶ岳山頂へは湿原の東ヘリを進むが、その前に雪渓をトラバースして姫池へ、到着9時。
静かに水をたたえ、水際に沿って木道が敷かれ、それは更に本峰に向かい伸びている。 日差しは暑いが、風がとても爽やかであった。 姫池から見た、奥のなだらかな稜線の山が平ヶ岳山頂
美しい湿原となった鞍部を過ぎ、所々に池塘をはめ込んだ傾斜湿原を登り切ったら、「平ヶ岳三角点」の標示板が立ち、木道が広がり休憩できるようになっていた。 登頂 9時40分。
山頂の標示と二等三角点標石は、ひっそりとした灌木の中に立っていた。
三角点の先の方まで湿原が広がり「平ヶ岳」という名と山容に納得した。
尾瀬の山々や南面する山々の稜線もハッキリ見え、我が郷土の山『富士山』も確認できた。 マイクロを運転して下さった奥只見山荘のオヤジさんも「新潟から富士山が見られるのは珍しいんだよ」と喜んで下さった。
天気は最高でノンビリくつろぎたい気分だが、登山口のマイクロが3台揃ってゲートを出ないといけないので極力12時半までに下山して欲しいとの要望があり、早い方を待たせてはいけないので35分間、休憩と山岳風景を楽しみ、復路に入った。10時15分発。
下山時が事故発生率が高いので、小休止を入れたり、花の好きな方は写真も撮りたいでしょうから、皆さんの下るペースに合わせて最後尾についた。
朝食を取った五葉松まで下山し、そこからは私が先行下山(12時37分着)し、登山口で待つ皆さんに「あと30分ほど待って欲しい旨を伝えた。」 山荘のオヤジさんは「事故か 」と心配して下さったが「事故ではありません。」と伝え、空身で皆を迎えに戻った。 全員無事下山 13時。 お待たせし、申し訳ありませんでした。
帰りの、林道から見える大きな沢のそばでマイクロを止め、オヤジさんが「深田久弥は、あの沢を登り姫池から3泊4日で平ヶ岳に登り、鷹ノ巣へ下山したんだ。」と説明して下さった。昭和30年頃だろうか? まだ、登山道のない頃は大変であった事を感じ、今日日帰りで登頂できたことに感謝でした。