梅は春を告げる花。
早春の冷たい空気の中で香り高い五弁の花を開く。
ほかの春の花にさきがけて咲くところから、古くは「花の兄(はなのえ)」とも呼ばれたようです。
なので、梅はすべての花の兄
花は桜よりやや小ぶり。薄紅、濃紅もあるが、これらは紅梅と呼ばれる。 でも梅と言えば白梅だそうです。 白梅は清楚な気品があり、桜と共に古くから日本人に愛されてきた花であります。
『万葉集』の花の歌では梅が一番多く118首。 桜は三分の一の40首であったそうですが、平安時代の『古今集』になると、形勢は逆転し、春歌134首の内100首以上が桜の歌で占められ、梅の歌はわずか十数種しかないようです。 梅が桜にまさるのは香り。
夜の闇に漂う清々しい香りが歌に詠まれ、もてはやされた。
春の夜の やみはあやなし 梅の花 色こそみえね かやはかくるゝ
凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)平安中期の歌人。三十六歌仙の一人。
※角川俳句大歳時記参照※
また梅には『好文木』(こうぶんぼく)という別名があります。 晋の武帝が学問に励むと咲き、怠ると咲かなかったという故事があるそうです。
梅と聞くと思い浮かぶのが北野天満宮、長岡天満宮、大宰府天満宮で、主祭神の学問の神様『菅原道真公』であります。
北野天満宮の約2万坪の境内には、梅園も含め約50種、1500本の梅が植えられています。 風が冷たいうちからほころび始める梅の花。毎年2月上旬から3月下旬にかけて、梅園が一般公開されます。
道真公が京都から九州の大宰府に左遷されたときに、詠まれた歌も有名ですね。
東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ
ここに生まれたのが有名な飛び梅伝説。道真公を慕い、その梅は一晩で京から九州の太宰府まで飛んだのだという。