横尾から涸沢に入り北穂(標高 3106m) を目指す。
このコースのベースとなる涸沢は、穂高連峰に囲まれた日本最大規模を誇るカールの底にある。
※ ここでの写真は2013年9月28~29日に撮影したものです。
涸沢ヒュッテに到着し、カールの底から荒々しい岩峰の穂高連峰を見上げる。
そして北西に聳える北穂高岳を目指して出発である。
涸沢ヒュッテからは、涸沢の中央にあるテント場へ延びる石畳の道を進み、涸沢小屋へ向かう。
北アルプスの穂高岳登山というと誰しも一度は登ってみたい と思われる方が多く、岩峰の山であり参加者が多い時は落石の発生率が高くなるので、涸沢小屋で全員ヘルメットを装着した。
北穂への登山道は狭く急登であり、登下山者が多いのでノンビリ休憩という事もままならず、少しでも広い所があれば休憩を取ることを心掛けた。
擦れ違い時は慎重に対応しないと、接触でもしたら転落事故につながるので、皆さんに緊張感をもって望むよう声掛けをした。
涸沢小屋前を奥穂へ向かう道と逆の北穂沢に取り付く。 左にお花畑を見ながら急な石段の登山道を登って行く。
この斜面は、コバイケイソウ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイなどが特に多いお花畑になっている。 振り返ると前穂高岳(標高 3090m)が北尾根の岩峰を従え、迫力ある姿を見せてくれる。
ジグザグの急な登りが続き、嫌な岩場が2ヵ所あるが高度は確実に稼いで行く。
道がハイマツ帯の中を進むようになり、ザレた斜面を登って行くとガレ場に出る。 見上げると左の南稜と右の東稜の間の北穂沢が頂上直下まで突き上げているのが見える。 また中央に見えるピラミッド型のピークは、常念岳(標高 2857m)である。
ガレ場からハイマツ帯の中を登って行くと南稜へのクサリ場に進む。クサリが架けられた一枚岩は足場が切られているので、そこにしっかり足を掛ける。 その先の小さな梯子を一つ越え、長い梯子を通過すると南稜の取り付けに出る。
難関を通過し、一寸した広場で休憩。今まで見えなかった奥穂高岳(標高 3190m)や涸沢岳(標高 3110m)が姿を現し、下方に目をやれば小さく涸沢ヒュッテが望める。
稜線からは岩場混じりの急な道である。コースを外れると浮石が多いので、ペンキマークを忠実にたどろう。
右手の東稜を見れば高度を稼いているのが良く判る。細いリッジを越え、短いクサリ場を過ぎれば南稜のテラスと呼ばれる、北穂高岳のキャンプ指定地に出る。
キャンプ指定地を通って北穂南峰の下で稜線の分岐に着く。左が涸沢岳、右が目指す北穂高小屋のある北峰の山頂に到着である。
山頂からは滝谷の迫力ある眺めと、キレット越しに見る槍ヶ岳はこれぞ最高の山岳風景である。北穂山頂から奥穂方面の景色。
夕食前に参加者の皆さんと、北穂のテラスで山岳風景をつまみに生ビールで乾杯、これまた最高でした。雲間より槍のピークが見えた。
18時、冷え込んでくると雲も低くなり、高い山が雲海の中に島のように見えてくる。
北穂高小屋は北穂高岳北峰に位置し、標高 3100mは富士山を除けば日本最高所の山小屋であります。 山頂の片隅に建つ山小屋であり、食堂は狭いので宿泊者は席に着けば動かずとも、全て小屋の方が通路に立ち食事の面倒をみてくれます。そして北穂の食事は毎回、大変美味しいのです。
日本最高所の山小屋で前日の疲れを癒し、早朝の山岳風景の移ろいに感動を得る。 5時20分、昨日登って来た南稜のテント場越しに左手に前穂、山頂が雲で隠れた奥穂が見える。
北方向には手前長谷川ピークや大キレット、その奥には槍ヶ岳の雄姿が目に入る。
我が郷土方向に目をやれば、左手に八ヶ岳連峰、雲海を挟んだ右手には富士山そして北岳(標高 3192m)が目に入る。
冷え込んだ早朝は雲海が低く、日の出と共に刻々と変化するモルゲンロートに、皆が染まる。
早朝の山岳風景を堪能したら、6時 さあ 下山開始である。
南稜のテラスにあるテント場にも日が差して来た。
涸沢に向けての下山であり時間は充分あるので、皆さんの歩調が回復するまで広場を見つけては立ち休憩を入れるようにした。
皆さんに、憧れの北穂高岳から穂高連峰全体の山岳風景を充分に楽しんで頂きました。
大変、お疲れ様でした。
※ 訪問、ありがとうございます。