平ヶ岳(標高 2141m)は南会津、尾瀬の北西に位置し、利根川と阿賀野川を分ける中央分水嶺の二等三角点峰で、利根川源流の最高峰であります。
今回は新潟と群馬の県境に聳える『平ヶ岳』の御案内です。 ※写真は2015(H27)年7月25日撮影
平坦な山頂部には湿原と池塘が広がり湿原植物の宝庫となっています。
以前の平ヶ岳(ひらがたけ)への道は、交通の便が悪く登山道もない深山でありましたが、 深田 久弥は個性ある平ヶ岳を認識されており、『日本百名山』に加えようと、登り3日 下り2日の5日間を掛け、自らの足で踏破されたのが1962(昭和37)年のことだそうです。 その3年後に、現在の登山地図に表示されている鷹ノ巣からの登山ルートが開設されたとのことであります。
現在は、アプローチも登山道も整備されてはいるが、依然として遠い山であることには変わりありません。 登山口から山頂の往復は、12時間以上の長い行程であります。 また、途中にエスケープルートは無く、何ヵ所かある水場付近のキャンプは全て禁止区域で、その行程中には山小屋も有りません。 そのため、平ヶ岳を目指すには最後まで歩き通す体力と慎重な行動力、そして安全に下山するための状況判断力が必要となるコースとなっています。 そんな事から、万が一に備えて、タープかツェルトなどがあると助かります。
前記は現在の登山地図にコース表示のされた鷹ノ巣からの登山案内です。
私達はスタッフを含め17名のパーティーであり、鷹ノ巣からのロングコースには無理があり、別のコースを選択しました。
奥只見湖にある銀山平温泉のマイクロバスで、宿から1時間半、中ノ岐林道を走って頂き、標高 1270mの平ヶ岳中ノ岐登山口まで入って頂いた。 中ノ岐川沿いの残雪
中ノ岐登山口から玉子石分岐までの標高差約 800mの急登を、マップタイム3時間。
登山口を5時35分に出発し、玉子石に8時半到着。 早朝の涼しい時間から歩き出せたので、気持ち良かったのかマップタイム通りの時間で歩かれ、皆さんの頑張りに驚いた。 この年の夏は、乗鞍岳、四阿山、黒部五郎岳、富士山など、皆さん元気に歩かれました。
玉子石はハイマツの中に池塘と湿原を背景に鎮座している。 自然造形の奇岩であり、自然の凄さに驚かされるが、近年の風化による崩壊が酷くなっている様で「危険です。近寄らないで下さい。」の表示あり。
玉子石分岐まで戻り、木道を進み池塘のある池ノ岳へ。
灌木と岩稜とハイマツ帯を過ぎオオシラビソの林を抜けると、池ノ岳の平坦な頂上部にある、姫ノ池の地塘群が現れる。
付近には湿原が広がり、キンコウカ をはじめとする湿原植物が多い。黄色い花です。
そして、湿原越しに雄大な平ヶ岳の本峰が、直ぐ目の前に望める。
平ヶ岳の山頂へは、いったん鞍部へ下り、檜廊下と呼ばれるオオシラビソの林を抜けて行く。 頂上湿原の中に続く木道を進めば、二等三角点のある平ヶ岳山頂に到着である。
山頂西側の湿原には池塘が点在し、剱ヶ倉山方面へ木道は続くが行き止まりであり、その周辺にはチングルマが咲き誇り、360度の展望が楽しめる。
二千mを越える平坦な山頂に湿原が広がり、お花畑あり、展望最高となれば、5日間も掛けて自分の目で 確認し、「日本百名山」に加えたかったと思う深田久弥先生の、お気持ちが理解できました。
※ご覧いただき、ありがとうございます。