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近代産業資産として、新潟市秋葉区にある「石油の里・新津油田金津鉱場」を紹介するつもりだったが、先にこの油田の採掘に成功し、「石油王」と呼ばれた中野貫一の邸宅「中野邸記念館」を紹介したい。
というのも、紅葉の名所で、紹介する写真は11月上旬に撮影したものだが、まだこの三連休も見頃は過ぎたとはいえ、まだ十分楽しめるという情報から、少し遅くなってしまったが、「赤色は弥彦にも勝るとも劣らない」と言われる邸宅内の庭や隣接する庭園・泉恵園があるからだ。
中野家は、代々庄屋でいわゆる豪農。自宅近くの新潟市秋葉区(旧新津市)の丘陵で、早くから自噴する石油に目を付け、明治期に苦難の末に商業ベースの油田を掘り当てることに成功。当時、日本の三大油業者(中野興業、日本石油、宝田(ほうでん)石油=いずれも新潟県が発祥の地、いずれも現・ENEOS)となるまでに至った。
この新津油田は、西山・東山油田(現長岡市・柏崎市・出雲崎町)からすると、中野貫一を筆頭とした中野家の事業とされていて、帝国石油から日本石油に引き継がれ平成8年まで採掘されていた。まあ、日本一の油田と言っていいでしょう。(まあ、新津油田は、後日紹介するとして…)
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中野邸記念館は、そんな中野貫一の偉業と中野家繁栄の足跡を紹介してくれるところ。公益財団法人により管理・公開されている。
建坪は往時650坪(現存するのは250坪)。邸宅の本館は応接室や賓客室をいくつもそろえ、5つの蔵や大玄関とともに公開されている。
最初に紹介した写真のとおり、前庭・主庭・中庭も見事であるのだが、圧巻は隣接する山をまるまる回遊式の庭園にした「泉恵園」だ。中野家の庭であり墓所でもあるこの場所に、日本でも有数の数を誇るもみじが植栽されている。
これが知る人ぞ知る「赤」の紅葉のスポット!(ちょいと健脚向けのコースで、滑りやすいところもあるので、履き慣れた運動靴でお出かけください。)
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「泉恵園」ですかー。泉のように石油が湧いて、恵みをもたらした?もみじの赤は、燃えるような石油のイメージでもあったのでしょうかね?
中野寛一の熱意によって開発され、近代化されていった新津油田であるが、何か閑静な庭園を回遊していると、遠くから機械掘りの音がかすかに聞こえてくるかのよう。ここで、いろいろ考えたんだろうなー、中野さん。
(本当に、私の写真は紅葉のピークに少し早かったようで、書き込んでいるような燃える「赤」を紹介できずに申し訳ありません!)