noteを開こうとする度に、繰り返し問題が発生していた。ジョギングに行き、お風呂に入り、アイスを食べて、改めてアクセスを試みる。時間をずらせば、多くの問題は解決する。
「繰り返し問題が起きたためジャンプします」
飛ばされた先は庭だった。猫がいる。
(ちょうどよかった)
404美術館に出展する絵を考えていたところだ。
猫は動かない。僕はまだ筆を取らない。まだ今ではない。猫はじっとこちらを見ている。こちらが動くまで、ずっとそうしているつもりだろうか。猫との対立を通して、自分がこの世界に馴染むまで待つのだ。
「それまで動かないぞ」
絵の具は十分に用意されているが、まだ溶けていくものはなかった。ありのままを映すこと、目の前にいる猫を描くことは、もう目的ではなかった。それでは何だろう。猫が1つ大きなあくびをした。
猫と僕、君と君以外、僕の目に映る君、君の目がとらえる世界……。君と向き合い続けるということは、世界について考えることだ。
互いに意識し合う時間。終点のみえないにっらめっこの時間。少なくともここには2つの世界があるのではないか。君が思う故に、僕はいるのかもしれない。そうか。
「わかったぞ!」
くるり♪
わかり始めた瞬間、猫は反転して歩き始めた。
(もうとらえてるからな)
猫のいた空白に絵の具をといて、僕は猫の目を描き始めた。