眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

Aボタンのリクエスト

2020-10-26 20:25:00 | 短い話、短い歌
 Aボタンを押すとジャンプ。
 ジャンプ、ジャンプ。
「飛べ! 飛べ!」
 飛べー! 
 ばかになった?
 主人公はかたまっていた。
 凹んだままのAボタンが、ゆっくりと戻ってくる。
「もっと押して! もっともっと!」
「飛べ!」
 主人公は眠り込んでいる。
「凝ってるの私」
 このバカコントローラー!
「そうそう! もっともっと!」


Aボタン
押してはなして
真夜中の
E少年は
明日の代表

(折句「エオマイア」短歌)

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西日の千日手

2020-10-26 16:58:00 | 将棋の時間
おじいちゃんの部屋は
特別離れた場所にあり
いつでも西日の中にあった

僕が右に銀を繰り出すと
おじいちゃんは金を寄せた
ならばと左に銀を繰り出すと
おじいちゃんは金を寄せた
同じ手順が十回以上続いた

おじいちゃんは
僕に似て意地っ張りだ

攻略を図れば防御を固め
どこにも隙を作らず
突破口を与えてくれない

銀を繰り出せば金を寄せ
目先を変えてもついてくる
譲れない中盤に
僕は数え切れない銀を繰り出した

苦い顔をしたおじいちゃん

「まいった」

突然
小さな声で
負けを認めた
(まだ駒もぶつかっていないのに)
だから局面はずっと止まったままだ

おじいちゃん
お腹空いたんか

あれは千日手だったのに
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