眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

創作オムレツ

2020-10-25 18:48:00 | ナノノベル
「オムレツ!」
 ナナのリクエストは絶対。
 だけど卵がない。
 スーパーはもうどこも閉まっている。

「オムレツ! オムレツ!」
 ナナのリクエストはキャンセル不可。
 パパはフライパンを見つめている。
 そこに割り入れる卵はもうないのに……。

「よし! 創るぞ!」
 パパはゼロから始めることを決めた。
 赤ピーマン、乾電池、軍手、布団、トマト、ビニール傘、白ネギ、トランジスタラジオ、ビー玉、鷹の爪……。
「確か昔習ったことが」
「あなたどうするの?」
 心配げなママの横でパパは家の隅々から集めた素材を用いて必死の創作活動に没入している。ここは手、ここは頭、ここは羽、ここは心臓……。

「ニワトリから創るのね」
「一度授業でやった覚えが」
「確かなの? あなた」
 骨組みができ、皮膚ができ、羽が震えて、瞳が光り、鶏冠が立ち上がった。
 覚えある手がリクエストをかなえるために休みなく動き続けた。徐々にそれらしく、それでいてどこか不気味な生き物を創り出そうとしていた。

「パパもうやめて!」
 立ち上がる命にナナが待ったをかけた。
「ハンバーグでいい」

「どうした? 簡単にあきらめちゃいかん」
「もういいの」
 パパは手を止めない。最初のリクエストが絶対だ。
 苦心の羽を広げてニワトリは今にも羽ばたきそうだ。窓の向こうを見つめていたニワトリの首が回って、ギョッとナナを見た。

「ニワトリ嫌い!」
「ナナ……」
 強い言葉にパパは驚いて手を止めた。

「ハンバーグがいいの!」

「そうか……」
 パパは少し残念そうだ。

「あなた。私もそれがいいと思うわ」
「じゃあ、オムレツはまた今度だな」

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リア充不思議体験日記

2020-10-25 11:19:00 | 幻日記
 今日は朝から口を開けて朝食を食べました。また、朝が終わってからも1日を通して色々なものを口にしました。野菜を食べたりトマトを食べたりしました。チョコを食べたりアポロを食べたり、お菓子を食べたりポテコを食べたり、おやつを食べたりパイの実を食べたり、アイスを食べたりピノを食べたりしました。
 それから寝転がったり横になったりしました。ロックを聴いたりアジカンを聴いたりしました。
 それから歩いたり前に進んだりぶらぶらしたり、散歩したり街の中を移動したりしました。少しずつ景色が変わったのが不思議でした。


よくできました!
あなたの不思議体験に先生ははんこをあげます!
明日も頑張りましょう!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする