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「それだけが、僕の世界」 チェ ソンヒョン監督 韓国 ☓☓!
今は落ちぶれたボクサーが自分を捨てた母親と再会し、サヴァン症候群の弟と3人で暮らし始めます。家族への思いを育む人間ドラマです。
ジョハ(イ ビョンホン)は相手を叩きのめすことしか頭にないボクサーですが、そろそろ限界を迎えていました。そんな折、17年前に別れた母親と再会します。母親に誘われ家に行くとそこにはサヴァン症候群の弟ジンテ(パク ジョンミン)がいました。行く宛もなかったジョハは母親へのわだかまりを抱えながらも一緒に暮らすようになります。そしてジンテが天才的なピアニストであることを知ります。そして運命の出会いがふたりを待っているのでした。
ピアノ演奏の場面が多いのですが、「天才ピアニスト」というジンテ役のパク ジョンミンが吹き替え無しで演奏したということに役者魂を感じます。素晴らしい!
また、イ ビョンホンが自分を捨てた母親を少しずつ理解していく微妙な心情と弟の才能をなんとかして花開かせたいと願う兄の思いを絶妙な表情で演じていました。
周囲の女性たちがそれぞれ異なる立場でふたりを応援する姿もさり気なくてよかったです。
ただ、タバコは、その女性たちが喫煙者ばかりで、それも「パワーのある人が見せつけるように喫煙する」とか「思い悩むときにタバコに火をつける」とか、「仲間意識としてタバコを勧める」など、日本の映画界では古臭い演出で殆ど見られなくなった喫煙シーンが目立ちました。(☓☓)ラストでタバコを進められたジョハが口にしますが、咳き込んで「運動しているから」とタバコを消す場面が救いでした。(!)