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ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記

2020-02-02 | 2020映画評


「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」 平良いずみ監督 ○ ☆☆☆☆☆

 能登半島から単身で、那覇市にあるスリースクール「珊瑚舎スコーレ」に15歳のときに入学した「菜の花」さんが沖縄各地で見たり聴いたり考えたりする姿を追ったドキュメンタリーです。沖縄テレビ開局60周年記念作品です。
 「ちむぐりさ」ということばは「悲しい」に近いけれどただ悲しいのではなく「誰かの心の痛みを自分の肝(ちむ)がいっしょに苦しく悲しいと想う」気持ちを表すウチナーグチ(島ことば)です。その言葉通り菜の花さんは、珊瑚舎に通う戦争中に学校で学ぶことができず、今やっと夜間中学生として学ぶ楽しさを体験している高齢者の人々や基地があるがゆえに事件事故の犠牲者となった人々から多くのことを彼女の豊かな感受性で捉え「菜の花日記」(北陸中日新聞コラムのタイトル)として表現していました。「自分になにができるのか」を常に考え続けている菜の花さんの姿は感動的です。(☆☆)
 沖縄の問題を扱った作品はこれまでも毎年いくつも秀作がありますが、今作は沖縄出身者ではない菜の花さんが主人公のせいか、沖縄以外の人にも抵抗なく沖縄のさまざまな問題を考えるきっかけになるのではないかと期待できます。(☆)
 教育関係者や学校に行けず悩んでいる人には「珊瑚舎スコーレ」という学校についてもぜひ知ってほしいです。(原作の「菜の花の沖縄日記」の併読をおすすめします。)
 また、菜の花さんの語りとナレーターの津嘉山正種さんの声が押し付けがましさがなくすんなり心に響いてきます。(☆)
 沖縄には基地問題があり、日本各地には原発問題があります。「諦めずに考え続けること」ということばは、それぞれの地域での活動の参考になることでしょう。(☆)
 「あなたがすることのほとんどが無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。」これは、映画の中で語られるマハトマ・ガンジーのことばです。何をしても世の中は変わらない、とふてくされそうになったとき思い出したい座右の銘に。
 タバコは、なし。無煙です。
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