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日本にマヨネーズを広めた男の話

2024-10-27 12:00:00 | 24期のブログリレー

こんにちは、24期生の金子政弘です。

秋になり色々な季節の食材を料理して楽しんでいます。稼プロ合宿の2日前、無性に栗ご飯が食べたくなり、栗ご飯を作ろうと思い立ち、栗むき用のはさみで1袋剝いていた時、手を滑らし右手の中指を深く切ってしまい、一晩中血が止まらず青ざめました。翌朝起きたらベッドのシーツやパジャマが血だらけになってしまいました。私のようにならない為に栗を剥くときは手袋をはめる等ケガ対策をすることをお薦めします。

9月の合宿では関係者の皆様には大変お世話になり、ありがとうございました。とても勉強になる2日間でした。

今回は「日本にマヨネーズを広めた・中島薫一郎氏」について書きます。私が会員になっている食品業界研究会で10月にマヨネーズの勉強会で発表する機会があり、資料を作る為に色々調べている時にふと若い頃に読んだ本を思い出しました。36年前上司だった、当時上司のケンコーマヨネーズの関東販売部長からもらった「食を創造した男たち」(島野盛郎著 ダイヤモンド社)という本を読み返しました。

古い本なので知らない人が多いと思いますが、この本は日本で初めてケチャップ、カルピス、ウイスキー、マヨネーズ、カレー粉を作ったメーカーの創業者がどういう経緯で商品を作り始めたか紹介する内容なのですが、この本の中に日本で初めてマヨネーズメーカーを創ったキューピーの中島薫一郎(とういちろう)氏の話があったので内容を少し紹介します。

私はキューピーで働いたことはありませんが、同業メーカーにいた私から見てキューピー社のマヨネーズに対する製品づくりの熱意は素晴らしいものがあると思います。

「食を創造した男たち」から引用すると中島薫一郎氏は1914年から3年間食品製造の研修生として国費で英国、米国に留学して魚の缶詰製造を勉強しました。その時に英国で食べたマーマレードとマヨネーズのおいしさを気に入り、現地で作り方を教えてもらって1916年に帰国しますが、当時日本ではマヨネーズに誰も関心を持たなかったため、すぐにマーマレードとマヨネーズを製造しなかったそうです。初めは三菱商事の鮭缶詰の独占販売を始めて成功したが、後に三菱商事が子会社を設立して中島商店の鮭缶詰の仕事を引き継いだ時に三菱商事からもらった礼金を原資に使いマヨネーズ会社を創業した。マーマレードのブランドは英国留学時にオックスフォード大学とケンブリッジ大学のボートレースに使われていた校旗がブルー一色でとても印象に残り、それを思い出して「アヲハタ」と名付けたそうです。

1923年関東大震災をきっかけに日本の衣食住が一気に洋風化した時にマヨネーズを作る機が熟したと判断して1925年キューピー印のマヨネーズ製造を開始したと書かれています。

関東大震災がなければキューピーマヨネーズやアヲハタのマーマレードを作り始めることはなかったのかもしれません。

商売にはタイミングをみて機を見るに敏に動くことが必要だと感じます。時代の空気を読む力やマーケティング力が中島薫一郎氏にあったのではと想像します。

本に書かれている中島薫一郎氏のマヨネーズに対する経営哲学が今もキューピー社のマヨネーズ作りにも引き継がれていることを感じます。私は中島氏の哲学は特に味、原価、生命力増進、品質優先の4つのこだわりがあると思います。

味は日本人向きに作り、おいしくなければならない。本によると原価は誰にでも手軽に買える値ごろ感を出す為にコストダウンを継続して行った。製造工程の改善によりコストダウンができれば何度も値下げして、販売店に更に沢山売ってもらったそうです。得意先に正直な商売をすることで信頼を得ていった。生命力増進は、体に良い食品でなければいけない。創業当時は日本人の体格が小さかったことから、食べることで体が大きくなる、体が強くなるような良質な栄養価がたくさん摂れるものでなければいけないと考えたそうです。最近は消費者ニーズからカロリーを下げた商品や、体によい油を使ったアマニ油マヨネーズのようにαリノレン酸の効果で悪玉コレステロールを下げるヘルシーな付加価値商品に注力しています。品質は何よりも優先されなければいけない。その為には優れた原料にこだわって必要な量を集める。また工場製造時に厳しく品質管理する。醸造酢を自社グループで製造し、品質の高い卵を自社グループで調達する力を付け、物流会社を自社グループに作り、デリケートなマヨネーズを運ぶ物流のプロを自前で教育したのはこうした中島氏の原料、品質に対する厳しいこだわりがあったからで、これにより高品質なマヨネーズを作り続け、他の追随を許さないブランド構築に成功したのだと思います。品質向上の取り組みは今も脈々と受け継がれています。近年は容器の改良にも力を入れていて、酸素吸収ボトルによる賞味期限延長や最後まで絞り出せる新開発のボトルを容器メーカーと共同開発したり、ヒンジキャップを上げると3本に線引きできるキャップを取り付けたり、業界でいち早く新たな技術を採用して品質や使い易さを追究しています。

こういった弛まぬ努力の積み重ねが信頼されるブランド構築につながっているのだと感じます。

世界で人気が沸騰する日本のマヨネーズはメーカーの地道な努力があり、安心安全な商品が作られていることを少し知っていただければ幸いです。

中島薫一郎氏の経営哲学は他の食品メーカーにも参考になると思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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4 コメント

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Unknown (山口賢哉)
2024-10-28 00:57:30
マヨネーズやアヲハタのルーツが理解できました。普及する価格になるようにコストダウンを徹底し、信頼を得るために品質にこだわったことなど、理念がしっかりしていると感じました。日本のものづくりを支えている1社なのだなと感じました。
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Unknown (柴田純一)
2024-10-28 12:20:00
マヨラーです。少し酸味の強い日本式のマヨ、幅広い食材との相性のいいスゴイ発明だと思います!カツオのタタキを、ニンニクとマヨで食べるのも美味しいですね。
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Unknown (曽我 剛)
2024-10-28 12:30:37
中島薫一郎氏の奮闘が今の日本の高品質のマヨネーズを生んだということ、勉強になります。食品業界は知識がないのですが、詳しく調べると興味がわいてきそうです。
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Unknown (森谷進吉)
2024-10-29 04:45:37
キューピーマヨネーズの生い立ちや品質優先の経営哲学についてよく理解できました。こういった弛まぬ、地道な努力が確固たるブランドに繋がっているのですね。これからも安心してキューピーマヨネーズを食していきます。
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