照る日曇る日第1308回
本巻では「黒川主」と「鬼やらい」の2作を収めているが、前作におけるヒロイン綾子の性的エクスタシーの表現が凄絶なり。「黒川主」に変身した獺が美女を犯して相思相愛の関係になるのだが、両者が繰り広げる妖艶で隠微な世界は、岡野玲子以外に描きだせるとは思えない。
「鬼やらい」では方相氏の造形が、文字通り鬼面人を驚かせる。
ところで文中で、安倍清明は「那智の滝は巨大な女子のくぼなのさ」と博雅に教えるのだが、古来そおいう言い伝えがあるのだろうか。
三万の「天皇陛下万歳」の赤子の叫びに耳を疑う 蝶人