照る日曇る日第1316回
イスラエル人でありながらエジプトで善政を敷いたヨセフが110歳で亡くなり、新世代が勃興するようになると、ヨセフなんかてんで知らないエジプト人たちは、大繁殖しているイスラエルの民を抑圧し始め、ファラオは男子の新生児を殺戮する。本記の主人公モーセはそんな弾圧の隙間を縫って成長し、神から選ばれてエジプト脱出の指導者になるのである。
神とヨセフはイスラエル人を脱出させようと企むが、ファラオはイスラエル人から富と権勢を奪い取ってエジプト人の奴隷にしたいから、「出たい」といううても「ああそうですか」とは言わない。
そこで神はイスラエル人地区を除くエジプト全土に蛙やブヨやアブやバッタをばら撒いたり、病気をはやらせたり雹を降らせたり、しまいには長子を虐殺したりしたので、人々はやっと脱出できるようになる。
神が支えるモーセ(とその兄アロン)の説得を受け入れ、ファラオの暴虐に耐えかねて脱出に合意したわけだが、なんせエジプト滞在430年に及ぶ民草にとって、出エジプトの決意と労苦は並大抵のことではなく、いくら天からマナが降ろうが、神が海を切り開いて逃げ道を作ろうが、はたまた両側から波が押し寄せてエジプト軍が全滅するという奇跡を見せようが、その不満と不平は折りに触れて激しく吐出して神とモーセを往生させるのであった。
ようやっとシナイ山の麓に辿りついた成人男子だけでも約60万人の大部隊に向かって、モーセを代理人とする神は、あの有名な「十戒」を授けるが、モーセが山から下りてくると兄のアロンと民草は黄金の子牛像を作って崇拝しているのだから油断も隙もありゃしない。選良どころかイスラエル人はけっこう性悪の民なのである。
いったんは怒り狂った神とモーセであったが、気を取り直してもういちど新たな「十戒」ボードを拝受したモーセは、今度は神を接待する幕屋の建設に取り掛かるが、これに対する神の注文は物凄く細かく、とても我が国の大嘗宮なんかちっちゃくってまるで勝負にならない。
されど大嘗宮のなかにいます天照大神がヤマト民族だけの神様であるように、「出エジプト記」の神も、イスラエル民族だけの神様であることは間違いないのである。
そういえば梅原千里・万里のコンビありあの千里が上沼恵美子なりしか 蝶人