照る日曇る日第1315回
1950年パリ、サンドニ生まれの推理小説作家が綴った文章に、ジャーナリストのペフが装画をつけたドキュメンタリータッチの戦争警告絵本である。
ヒトラー政権が1933年から大戦が終わる1945年までのわずか12年間にドイツで起こったことを、簡単な歴史年表を付けくわえながらいきいきと描き出している。
はじめは既成政党のていたらくに不満を覚えてナチ支持に傾いっていった中年の父親も、招集されて命からがら帰国し、ミュンヘンの瓦礫の山にへたりこんでいるところに、ヒトラーの肖像画を拾い出した息子が、「お父さんはどうしてヒトラーに投票したの?」と訊ねる。
日本帝国の場合は、1931年の満州事変から37年の日中戦争、41年の真珠湾攻撃を経て敗戦に至るまでざっと15年だから、「お父さんはどうして翼賛選挙に投票したの?」というところか。
新たな戦争への道をバクシン中の今の日本なら「お父さんはどうして安倍蚤糞に投票したの?」というところかな。
「自国第一」でみな頑張ればおのずから戦争することになるだろう 蝶人