あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

鎌倉交響楽団の第116回定期演奏会を聴いて

2020-11-05 15:58:29 | Weblog

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久しぶりに鎌倉芸術館で鎌倉交響楽団の第116回定期演奏会が開かれたので、思い切って出かけてみましたら、8割がた座席が埋まっていたので驚きました。
団員の中にはマスクを掛けたまま演奏している人もいましたが、1階から3階までの観客席に隔離は無く、2密3密状態で平気で座っていたのでまた驚きました。途中の報国寺の駐車場も満員で、もうコロナなんかどこか遠くの出来事と見做されているようですが、大きな間違いだと思いました。

さてプログラムですが、最初はウェバーの歌劇オベロン序曲、次がチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、しんがりがカリンニコフの交響曲の第1番でした。
カリンニコフは、チャイコフスキーやラフマニノフと同時代のロシアの作曲家ですが、この1番の他にいくつかの作品を残して、哀れ結核のために34歳で夭折しました。

我らが鎌響は、とても抒情的なロシア風の旋律が、はじめからおわりまで循環する初々しい交響曲を、指揮者和田一樹のタクトのもとで熱演し、やんやの喝采を博しました。
この曲の最後は珍しやトライアングルが登場して叩きまくるのですが、できればリストのピアノ協奏曲のような印象的な鳴らし方にすれば、もっと効果的な終楽章になったことでしょう。

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を独奏したのは、N響の森田昌弘という人で、可もなく不可もないいわば中庸を行くような演奏でしたが、私はどうして名コンマスの五味俊哉選手をフューチャーしないのかとい大いに不満でした。
さうしてアンコールに登場したのは、ハチャトリアンの「仮面舞踏会」のワルツで、私は初めて耳しましたが、ちょっとショスタコーヴィッチの有名なワルツに似た雰囲気の三拍子を、鎌響は正規のプログラムとは打って変わったノリノリの大演奏で展開し、同じオケとは思えない白い爆発を見せてくれました。

それにしても昔は管も弦も恐る恐る鳴らしたり弾いたりしていたローカ・オケが、よくもここまで成長したものよ!と感嘆一入のマチネーでありました。

 高田屋はマイルスのペットをBGMに天ぷらそばを供すなり 蝶人
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