あまでうす日記

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新潮日本古典集成新装版・清水孝之校注「與謝蕪村集」を読んで

2020-11-08 10:28:23 | Weblog

照る日曇る日第1492回


蕪村の「新花つみ」を含めた全発句集に加えて「春風馬堤ノ曲」を含めた「俳詩」、さらに彼の様々な「文章篇」で構成された1巻本の全集である。

芭蕉の後を継ぎ、それに匹敵し、一部ではそれを凌駕する発句をつくった蕪村であるが、その名をさらに高めたのは生新な俳句と現代詩が融合した「春風馬堤ノ曲」一編であろう。

以下、夜半亭の名作のいくつかを再録しておこう。
 遅き日のつもりて遠きむかしかな
 春の海終日のたりゝかな
 大津絵に糞落しゆく燕かな
 うつつなきつまみごころの胡蝶哉
 ゆく春やおもたき琵琶の抱心
 几巾きのふの空のありどころ
 菜の花や月は東に日は西に
 牡丹散て打かさなりぬ二三片
 地車のとどろとひびく牡丹かな
 みじか夜や毛むしの上に露の玉
 夏河を越すうれしさよ手に草履
 愁いつつ岡にのぼれば花いばら
 夕風や水青鷺の脛をうつ
 さみだれや大河を前に家二軒
 朝がほや一輪深き淵のいろ
 月天心貧しき町を通りけり
 去年より又さびしいぞ秋の暮


 もう二度と会うことはないと知るゆえに長くて熱い我らの握手 蝶人
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