照る日曇る日第1500回
序章「歌の深層へ降りてゆく」から終章「人はどのような時に絶唱を詠むのか」まで、キャッチーな見出しで埋めつくされた、「うた」の起源と現在までの変容の探求書です。
無味乾燥な究理哲学本かと恐る恐る読み始めたのだが、そんな心配は全く無用で、特に万葉集や古今集、現代短歌の現況を、それこそ「総合的俯瞰的に」総括した個所などいろいろと勉強になりました。
歌には1人称、2人称、3人称など様々な人称が出てくるが、詠歌の真の詠み手を強いて名づけるなら「ゼロ人称」であるという考察も興味深かったが、とりわけ面白かったのは、源氏物語の作中人物の和歌を論じた第23章だあ。
第1位光源氏221首、第2位薫57首、第3位夕霧39首、第4位浮舟26首、第5位紫上23首、第6位22首の中から、女流トップの浮舟を選び、歌人としての成長ぶりを具体的に指摘しておりまっせ。
天空の世界遺産マチュピチュの映像見つつ抜かれる臼歯 蝶人