あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

半蔵門で歌舞伎、新宿で展覧会をみてコロナ禍の東京から逃げ帰る

2020-11-22 13:01:32 | Weblog

蝶人物見遊山記第332回&蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話第352回

金曜日にいろいろ迷ったのだが、決行。まず国立劇場で「平家女護島」を観劇したのだが、いつもの半分のキャパがほぼ満席なので驚いた。
序幕で清盛役の吉右衛門が「鬼界ヶ島」で俊寛僧都をやるのだが、相変わらず聞きとりにくい口先発声で以前同じ役を演じた菊五郎とは大違い。自分が歳をとったからというて無理に老け役にすることもない。あんなよぼよぼの老人では上使の瀬尾をやっつけられないだろう。

そももそも、この「鬼界ヶ島」は近松の脚色に問題があって、清盛の赦免状にはなかった俊寛の名前が、同じ船に乗って来たもう一人の上使丹左衛門持参の重盛の赦免状には記されているという不可思議がある。

それならめでたく3人揃って帰還すればいいのに、俊寛が自分の代わりに成常の妻千鳥を乗せろと言いだし、結局はそのいいぶん通りになったくせに、孤島の岩上で大騒ぎするのも不可解である。

新聞の批評では、そこのところの吉右衛門の演技を激賞してあったが、菊五郎に劣ること数等のパフォーマンスであった。

それから新宿の伊勢丹で開催されている「セイ・ハシモト展」を鑑賞したが、油彩で描かれたコロナ禍の巴里の風景が胸に染みた。


  世界中を征服したるコロナ菌に学ばぬ国と学ぶ国あり 蝶人
コメント
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