鎌倉国宝館で「2つの関東大震災と鎌倉」展をみて
蝶人物見遊山記第371回&鎌倉ちょっと不思議な物語第448回
間もなく9月1日がやって来るが、そうするとあの大正12年から1世紀を迎えることになる。「ここで会ったが100年目えー」ちゅうやつか。
鎌倉は鎌倉時代の昔から天変地異が名物で、「吾妻鏡」なんかを読んでいると、しょちゅう地震が発生して、そのたんびに御所や寺社仏閣が倒壊したり、将軍家や執権、御家人が逃げ回って、安全安心を願う安倍一族による加持&祈祷ミクスが暗躍したりしたが、災害はてんで収まらなかった。
自宅の近所に実朝が1212年に父頼朝と後鳥羽上皇を祈念して創建した大慈寺の旧跡があるが、その裏山の阿弥陀山が大地震で崩壊して、周辺で液状化現象が発生したのは、それから間もなくのことだった。
一夜にして崩壊した大慈寺の大佛の黒い仏頭は、一遍上人ゆかりの近所の光触寺に収蔵されたが、今回の展覧会に出品されており、往時を偲ぶ数少ない魁偉な遺品であるが、それを大震災の記念遺産として眺める人は少ない。
その後も鎌倉は幾度となく地震や津波の被害に遭い、今回の特別展には関東震災に加えて320年前の元禄地震の文化財被害やその修復結果なども報告されており、「天災は忘れもしないうちにやってくる」という名言を深くかみしめる展示会となっっている。
なお本展は、来る9月10日まで鳴り物入りで開催ちう。
極小といえども施主には極上の戸建て住宅湿地に聳ゆ 蝶人