照る日曇る日 第2015回
珍しく漫画編集者を主人公に据えた異色の漫画である。某出版社に30年の長きに亙って編集者をつとめた塩澤和夫さんが「一身上の都合により退職」するところからはじまる連載の第1巻だが、抜群の面白さである。
画調の趣は、むかしの「ガロ」をちょっとモダンにしたような感じだが、昨近の漫画界の沈滞に絶望して、いったん足を洗ったはずの主人公が、退職金をはたいて小さな出版社を立ち上げ、自分独自の来るべき漫画の世界を構築しようと1歩を住みだすところを描いてすでにじゅうぶん感動的である。
国会でヤイノヤイノとせつかれてうすうす思い出す父母未生以前 蝶人