あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

石川徹校注・新潮日本古典集成新装版「大鏡」を読んで

2024-02-18 08:41:30 | Weblog

 

照る日曇る日 第2020回

 

西暦1065年5月、京の紫野雲林院を舞台に、大宅世次190歳、夏山重木180歳の2人の超高齢老人がモノガタル、中臣鎌足以降歴代の藤原一族の栄枯盛衰のあれやこれや。

 

なかんずく花山院襲撃事件による「本命」伊周の配流と「対抗馬」道長の浮上など、次から次に思いがけないエピソードが登場して、最後まで読者を飽きさせない。

 

往時に栄耀栄華を極めた藤原道長の大人のお大尽ぶりと、それへの追従が鼻につくが、校注者の考察によれば、本作の作者は、道長の五男の藤原能信で、父の在世中は恵まれていたが、その死後に冷や飯を喰らった彼が、生前の往時を偲んで懐かしき父を顕彰したのが「大鏡」だという。

 

なるほど。

 

それにしても、公凶放送の大河ドラマが、歴史的にありえない誤謬を含めて、藤原一族の面々を、現代俳優のかんばせで刻印してしまうのは、どうにも許しがたい暴挙であるなあ。

 

       最果ての海辺に原発を造らせなかった珠洲の民草 蝶人

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