吉本隆明全集35「ならずもの国家異論」を読んで
照る日曇る日 第2118回
2004年に光文社から刊行されたアメリカによるイラク戦争、自衛隊の海外派兵、北朝鮮による拉致問題などを巡る「情況論」であるが、時の小泉政権のアメリカへの全面的追随政策に対する批判や核拡散防止条約の問題点などが指摘されています。
「憲法第9条の非戦条項は百数十万人の国民大衆の戦争死によって贖われた唯一の戦利品で、どの資本主義国にもどんな社会主義国にもない「超」先進的な世界認識だから、非戦の範囲をさらに拡大して、アメリカやロシアといった軍事大国だけでなく世界中の国家意思を変更させることを我が国の積極的な外交活動の目標とすべきだ」と強調していますが、いまどきの保守派のみならず全国民が傾聴すべき至言だと思います。
ひとしきりベルリン・フィルで笛吹いてしばらくしたら消えていくひと 蝶人