あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

マギー・オファーレル著・小竹由美子訳「ルクレツィアの肖像」を読んで

2023-07-16 10:41:22 | Weblog

照る日曇る日 第1926回

 

我らが主人公のルクレツィアには実在のモデルがあって、16世紀イタリアのフィレンツエの支配者コジモ1世の3女ルクレツィアがそれである。

 

彼女は13歳でフェラーラのアルフォンソ2世と結婚したが、それは本来は花嫁に擬せられていた姉が急死したからだった。いわばピンチヒッターとして白羽の矢が立てられた訳だが、婿のアルフォンソにとってはそんなことはどうでもよく、政略上の理由で正妻に息子が誕生しさえすればよかったのだった。

 

いわば「産ませ女」として公爵に嫁いだルクレツィアだったが、僅か3年後の1561年に毒殺されたと信じられている。それはルクレツィアのみならず、前の、そして後の公爵夫人からも子種を授からなかったアルフォンソ自身の肉体的遺伝子的特性の故だったろう。

 

後世に遺されたルクレツィアの1枚の肖像画、その不安に揺れ動きながらも、靭い個性を感じさせる表情から一瞬の霊感を得た作者は、強烈な想像力と創造力を自在に駆使して、薄幸の運命に流されながらも、おのれを最後の最期までしかと手放さなかった若い女性の全生涯を、完膚なきまでによみがえらせることに成功したといえよう。

 

たった1枚の絵への一瞥が、万人の心をとらえて離さない珠玉の長篇小説を生み出す現代文学の奇跡が、ここにある。

 

  コジュケイが大きな声で叫んでる台湾リスの危険が迫る 蝶人

 

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西暦2023年文月蝶人映画劇場その3

2023-07-15 08:01:00 | Weblog

西暦2023年文月蝶人映画劇場その3


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3348~52

 

1)デクスター・フレッチャー監督の「ロケットマン」

エルトン・ジョンの半生を描く自伝的音楽映画。

 

2)ゴンザロー・ベンダラ監督の「マッド・プロフェッサー」

重病の妻の手術代を工面するために教え子に保険金殺人を依頼する教授の悪巧みを描く2015年のスペインのサスペンス映画。

 

3)ルネ・クレマン監督の「鉄格子の彼方」

放浪の殺人犯ジャン・ギャバンと有夫のイザ・ミランダの1949年の悲恋物語で、結末が殊に哀れなり。

 

4)ジャン・ルノワール監督の「獣人」

ゾラ原作、ジャン・ギャバン主演の1938年の殺人事件だが、どうもこういう遺伝子原因モノは始末におえないずら。

 

5)丹野雄二監督の「あげてよかった」

タイピストの女子社員が部長に処女を捧げて「あげてよかった」と部長夫人もいるところで告白するという1958年のある意味物凄い映画ずら。

 

 この国に愛想を尽かされるその前にこちらから愛想を尽かしたい 蝶人

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松下育男著「詩の教室」を読んで

2023-07-14 10:25:55 | Weblog

「これから詩を読み、書くひとのための」というサブタイトルがついた、どんぴしゃり私のような人間のための講義録です。

 

どこの頁を開いても、作者がこれまでに生きて来た人世の重さ、切実さに裏打ちされた貴重な詩の作り方、書き方の方策が、まるで泉から流れ出る甘露のように尽きることなく流れ出て、私たちの飢えて乾いた喉をすばやく潤してくれます。

 

例えば第1部の『詩を書くひとに話しておきたいこと』では、『泣かずに書けない』のこんなひとふし。

 

 ―「詩とは、つねにおごそかに向かい合いたい。自分が選びとった詩はわんわん泣きながら書いていたい。(中略)。泣きながら生まれてきたんだから、泣きべそをかきながら生きて、しっかりと泣き疲れて死にたい」に、つよく惹かれます。

 

あるいは、『人生の音』の『最後の言葉』の中の最後の一節。

 

 ―「長いあいだ、お世話になったね」の言葉に匹敵する詩をぼくは書けたか。なんてことはどうでもいい。大切なのは「長いあいだ お世話になったね」の言葉に匹敵する態度と感性を貫いて、生き抜くことができたかなんだと思います。

 

「生きるための詩というものがあっていい」と作者は説きますが、この本は、単なる詩作のための最強のテキストにとどまることなく、「人世いかに生きるべきか?」という古そうに見えて新しい、普遍的な問いかけへの、貴重な、久し振りの入門書でもあるようです。

 

   本日のたったひとつの快楽は心ゆくまで小便せしこと 蝶人

 

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本上まなみ・澤田康彦著「一泊なのにこの荷物!」を読んで

2023-07-13 09:27:45 | Weblog

 

照る日曇る日 第1924回

 

一家仲良く京都在住のおふたりによる楽しい往復エッセイなり。

 

2020年から22年迄のコロナ禍にもめげず朝な夕なの暮らしを徹底的にエンジョイする4人家族の何気ない日常生活が、この世にふたつとない玉のように貴重なものに思えてくる、世にも不思議な読みものであります。

 

それにしても超ウラヤマな家族だなあ。

 

  明け方に風呂で斃れたご主人が担架に乗せられ運ばれていく 蝶人

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ニーチェ全集・吉沢伝三郎訳「ツァラトゥストラ上」(ちくま学芸文庫刊)を読んで

2023-07-12 10:49:44 | Weblog

 

照る日曇る日 第1923回

 

55歳で肺炎で死んだ哲学者の風変わりな主著を読んでみる。在野の哲学者が、こんな哲学だか詩歌だか分らん阿呆リズムをばら撒いても誰の共感も得なかったことは、100年後の今日においてもさだめし然りだろうと思ったら、さにあらずニーチェ選手は実存主義の元祖として没後日を追って再評価され、世界的な注目を集めたそうだが、読めども読めども明快な意味がとれず、1行で済ませるところを百万語費やしているとしか思えない。

 

解説書などを読むと、彼はツァラトゥストラにおいてかの「永劫回帰」の思想を開陳したと書かれているが、少なくとも上巻ではその痕跡はなく、本書の要諦は第2部第2章「至福の島々で」におけるキリスト教全否定であろう。

 

「神は一個の思想である」、「神は一個の仮想されたものである」という思想や仮想が、「もし神々が存在するとすれば、どうしてわたしは神でないことに耐えられよう! それゆえ、神々は存在しない」というハチャメチャな結論に到達するのだが、パスカルのような敬虔な思想家でなくとも、われわれのような神でない普通の人間は、神でないことに普通に耐えられるのではないですか。

 

しかしながら、ここがロドスだ! ここで跳べ! 

 

凡人並の普通であることを峻拒したニーチェ選手は、その跳躍の論理的必然として「神なき時空における、神の代理人としての“超人”誕生」という、“あまりにも人間的な”思想に鮮やかに着地したのであった。

 

   物言わぬ人が怒りをため込んでいきなり人を殺したりする 蝶人

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西暦2023年文月蝶人映画劇場その2

2023-07-11 09:31:04 | Weblog


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3343~47

 

1)ローレンツ監督の「デイ・アフター」

宇宙カプセルで目が覚めたら世界は崩壊していた、なんちゅうつまらん2017年のドイツ映画で、米ソ核戦争の「ザ・デイ・アフター」とは違う映画です。

 

2)ジュセフ・マンキーウィッツ監督の「イヴの総て」

ベティ・デイヴィスとアン・バクスターの代表作にしてブロードウエイの裏側を鋭く抉った1950年の傑作なりい。

 

3)オリヴィエ・ナカシュ監督の「スペシャルズ」

フランス国家の「規格外」自閉症児者施設に対する弾圧を押しのけて英雄的に戦う人々の記録。世の中には2019年製作のこういう映画も必要である。

 

4)バフマン・ゴバディ監督の「サイの季節」

30年もの間、イラン革命の余波で投獄されていたクルド系イラン人の詩人と妻の愛と忍耐の2012年の物語。

 

5)アレハンドロ・アメナーバル監督の「アザーズ」

2001年、ニコール・キッドマン主演の桁糞悪いホラー映画。

 

     遺書として詩集を贈る文月かな 蝶人

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齋藤寛著「歌集 アルゴン」(六花書林刊)を読んで

2023-07-10 09:52:07 | Weblog

 

照る日曇る日 第1922回

 

いつぽんの樹でありしころ真裸のひとに抱かれし たれにも言はず

 

 巻頭に置かれ、著者の本質をあえて告知しているようなこの1首の謎を、ぐあん

 ばって解き明かそうとしたが、ついに出来なかった。

 

声挙げて哭く赤子なり人間の身体の芯にその赤子をり

 

 人間存在の原核を、真正面から真っ向竹割りにした大胆不敵な1首。

 

キミガアヨオ/ヨオ/ヨオ 粉を吹くSP盤以て日の丸を揚ぐ

 

 一読思わず呵呵大笑の痛快歌だが、よく調べると技巧の限りが尽くされている。

 

うすぎぬの眠さ そののちビロードの眠さ そののち冥きへ墜ちぬ

 

 眠りの中で生から死、聖なる母胎へと溶解していく自我は性のヴェールに包まれ

 ているようにも見える。

 

「殴る時肌と肌とが触れ合ふわそれもエロスよ」姉断言す

 

 この謎めいた掌編小説のような趣のある歌集にあって、もっとも謎めいて、もっ

 とも生々しく官能的な存在が作者の姉と思しき人物である。おしかすると巻頭歌

 の「真裸のひと」はこの女性ではないかと、これはおらっちの不敬なる妄想。

 

短歌とは厄介者の子守唄、だらうか雨はほどなく止まむ

 

 本書の末尾に据えられた、これまた謎のような1首だが、恐らく作者はみずから

 を人世の厄介者と考えているのだろう。作者にとって短歌とは、人世のみならず、

 自分自身にとっても厄介な自分という存在をあやしてくれる、自作自演の子守唄。 

 人世を共にするパルスのような律動なのだろう。

 

   誰かれの見境なしに吠える犬あれもある種の障碍者なるか 蝶人

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山中もとひ著「歌集 生きてこの世の木下にあそぶ」(六花書林刊)を読んで

2023-07-09 10:56:57 | Weblog

山中もとひ著「歌集 生きてこの世の木下にあそぶ」(六花書林刊)を読んで

 

照る日曇る日 第1921回

 

「鬼門」という小タイトルの元にいくつかの鬼の歌が収められている。

 

 寒二月煎り豆巻き寿司チョコレート有り有り難味というを供さる

 

 はるばると鬼は逃げきて座る石千年ののちも鬼を待ちいる

 

 空家には取り残された赤鬼が二月の凍て月見上げておらん

 

その中に、

 

 桃太郎はテロリストだと思います鬼ヶ島から小鬼の意見

 

 という短歌があって、わたくしは激しく共感した。

なぜならわたくしは以前、明治時代の「尋常小学唱歌」を翻案した「それ行け桃太郎!」(『佐々木眞詩歌全集』らんか社)という詩を書いたことがあったからである。

 

一、桃太郎さん 桃太郎さん
海に浮かんだ歯舞、色丹、国後、択捉
全部わたしに くださいな

二、やりましょう やりましょう
 これから北の征伐に
 ついて行くなら あげましょう

三、行きましょう 行きましょう
 あなたについて どこまでも
 仲間になって 行きましょう

四、そりゃ進め そりゃ進め
 一度に攻めて攻めやぶり
 つぶしてしまえ 北の熊

五、おもしろい おもしろい
 のこらず四島攻めふせて
 分捕物を えんやらや

六 桃太郎さん 桃太郎さん
 海に浮かんだ尖閣竹島
 全部わたしに くださいな

七、やりましょう やりましょう
 これから西の征伐に
 ついて行くなら あげましょう

八、行きましょう 行きましょう
 あなたについて どこまでも
 仲間になって 行きましょう

九、そりゃ進め そりゃ進め
 一度に攻めて攻めやぶり
 つぶしてしまえ 西の 犬

十、おもしろい おもしろい
 尖閣竹島攻めふせて
 分捕物を えんやらや

十一、万々歳 万々歳
 お伴の犬や猿雉子は
 勇んで車を えんやらや

十二、桃太郎さん 桃太郎さん
 これであらかた片付いた
 今度は東を攻めましょう

 

 短歌と詩は、全然異なるジャンルと考えられているようだが、こうして並べてみると、まるで「シンクロ兄弟」のように、仲良し小よしの仲だということが分るではないか。

 

  今すぐに自公維国を潰すことほしたら寝起きも良くなるやろう 蝶人

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澤田康彦著「いくつもの空の下で」を読んで

2023-07-08 11:57:15 | Weblog

澤田康彦著「いくつもの空の下で」を読んで

 

照る日曇る日 第1920回

 

「暮しの手帖」編集長を辞して郷里の関西に戻った著者が京都新聞の第1面にほぼ毎日、1年間に亘って連載したコラムとエッセイをまとめた、面白くて楽しい1冊である。

 

 5月から始まり、翌年4月に終わる「新しい歳時記」なのだが、新聞社の指定は厳しい。というより厳しすぎる。「季節を意識した文章で、1回200字以内、1週間は同一テーマで、中に京都と滋賀のネタを2、3本程度入れよ」というのであるが、いったい誰がこんな無理難題をクリアーできるというのだろう?

 

ところがどっこい、我らが澤田選手ときたら、涼しい顔でこの地獄の季節を完走するのだから、さすがは元マガジンハウスの「ブルータス」「ターザン」「オリーブ」編集者&「暮らしの手帖」編集長である。

 

6月の「身近な鳥たち」、7月のベン・ジョンソンとの思い出、8月の「すずさん」との出会い、10月の「青春とはなんだ」、11月の「われら庶民」、12月の竹内結子への悲痛なレクイエムを読むひとは、彼が、これらのすべての制約を軽々と超越して、自分がいいたいことを、その最上の形で十二分に言い表わしていることに驚くとともに、表現者としての底力に秘かに舌を巻くことだろう。

 

   処理水が安全安心と思うならフクシマ行きてぜんぶ飲み干せ 蝶人

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西暦2023年文月蝶人映画劇場その1

2023-07-07 13:40:01 | Weblog


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3338~42

 

1)ロバート・エガース監督の「ライトハウス」

2人の灯台守の関係がこじれに拗れて最後には殺し合うという狂気と恐怖の2019年のモノクロ映画ずら。

 

2)マイケル・アップデッド監督の「歌え!ロレッタ愛のために」

1980年の夫婦愛のソンガ―ドラマ。歌が好きなだけだった素人が、歌いたくないのに歌わざるを得ないプロになっていく苦しみ。シシー・スペイセクが実在の「カントリー歌手、ロレッタ・リンの歌を自分で歌って演じる。

 

3)キャリー・ジョージ・フクナガ監督の「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」

ご存知007の2021年の最新作。私が大嫌いなプーチンそっくりのダニエル・クレイグ最後の主演作だが、映画のラストでは猛烈なミサイルの爆発を総身に浴びて絶命する。しかし「今は死ぬ時ではない」ので、奇跡的に蘇えるのかしら。

 

4)ペーターゼン監督の「アウトブレイク」

ダスティン・ホフマン主演の1994年の致死性ウイルス映画。新型コロナに限らずいずれ人類は凶悪ウイルス大流行で絶滅するのであろう。

 

5)ドン・テーラー監督の「ファイアル・カウントダウン」

カークダグラス、マーチンシーン、キャサリン・ロス、チャールズ・ダーニングが出る真珠湾攻撃を巡る1980年のSF映画ずら。

 

アスレティックには防御率37.80の投手がいるので藤浪の10.04は目立たない 蝶人

 

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家族の肖像~親子の対話その97

2023-07-06 09:57:17 | Weblog

 

2023年4月

 

お父さん、メンドウクサイといったら、ダメでしょう?

ダメだね。

 

今回って今のことでしょう?

そうだよ。

 

変更って、変えることでしょう?

そうだよ。

 

お母さん、シャケご飯とトマトスープとマーボドウフにしてね。

分かりましたあ、シャケご飯とトマトスープとマーボドウフにしましょう!

 

お父さん、じえじえ、アマちゃんでしょう?

そうだね。ツバメもじぇじぇって鳴いてるけどね。

じえじえ、じえじえ、じえじえ

 

お母さん、被告人てなに?

悪いことをしたかもしれないひとよ。

 

お父さん、駅でえ回数券買ってえ、東急行きますお、29日。

分かりましたあ。

 

アコトさん、加藤のトウ、フジでしょ?

そうだね。フジだね。

 

お母さん、案内に従って、て、なに?

言うとおりにしてくださいね、のことよ。誰が言ってたの?

東急で。

 

お母さん、ぼく、東急好きですよ。

そうなんだ。もうツツツ大丈夫になったのね?

大丈夫ですお。

 

コウ君、ひーちゃんに朝の5時に電話したら駄目じゃないか!

うわあああ、御免なさい、御免なさい、もうしません!!

 

桜木町で、横浜線見ました。ぼく、横浜線好きですお。

そうなんだ。

 

 トントンとドアを叩けど知らぬ顔そのまま発車していく京急 蝶人

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谷川俊太郎編「わらべうた下」を読んで

2023-07-05 14:07:07 | Weblog

照る日曇る日 第1919回

 

下巻では上巻より有名でない歌があるから、眺めていても、楽しい。

 

「おおかぜ こかぜ  みなこい みなこい

 

かぜかぜ ふけえ ふかなあ おおみちこみちを とおさんぞ

 

やっこふんばれ ばんげいは ばくはんだ(夕食は麦飯だ)」

 

こんなんも、あるぞ。

 

「まねしまんざい かめたたき いちにちあるいて こめごんごう」

 

これは、どうじゃ。

 

「でんでらるうなら でんでるばってん でんけんこんけん こんこられんけんこん」(来られるならば出るけれど、出られないから行かれない)

 

  けふもまた耕より5時に電話あり「お父さん大好きですお」てふ 蝶人

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島田雅彦著「時々、慈父になる」を読んで

2023-07-04 10:03:31 | Weblog

島田雅彦著「時々、慈父になる」を読んで

 

照る日曇る日 第1918回

 

前作「君が異端だった頃」に続く著者の自伝的小説。小説を謳ってはいるが、述べられていることはほぼ事実だろう。

 

9・11のNY航空機突入の際の感想など、さきごろ話題になったのアベ暗殺事件のリアクヨンなどと同様、勇気をもって率直に書き残しているので、私など著者の誠実さにある種の痛ましさの混ざった感銘を受けるのである。

 

おのれを反体制、反権力の人間であると公言し、その通りに振舞う文学者など、いまや絶滅が危惧される天然記念物さながらに稜稜たる存在になってきた。

 

好漢ますます自重しつつ、己の道を邁進されよ、とエールを送っておきたい。

 

 チェンバロ製作の松田世紀男はどこにいる生きているのか死んぢまったか 蝶人

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すべての言葉は通り過ぎてゆく第118回

2023-07-03 10:55:33 | Weblog

すべての言葉は通り過ぎてゆく第118回

 

西暦2023年水無月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第417回

 

2023年6月

 

フクイチの地獄を遠望したドイツは、ただちに原発廃止に踏み切ったが、その惨劇の当事者であるこの国は、廃止どころか、大手を振って原発回帰しようとしている。この政治的感覚の差は、なんなのか?6/1

 

スマホに加えてチャットGPTを濫用していると、その人間の大脳前頭葉はいつの間にか「スマホチャットGPT脳」に変態して、その人間は世界AI一家日本支部の子分になってしまうのだろう。6/2

 

全部で8つしかないメジャータイトルのうち7つまでも独占してしまったら、残りの全棋手は、それこそおまんまの喰いあげになっちまうんじゃないのか?それともこれは1人の超ブルジョワが、世界の7割の富を独占している、という現在の資本主義の富の偏在を象徴する出来事なのかしら。6/3

 

中也ではないが、今宵ここでのひと盛り 人世まるで花嫁御寮。あなたも私も、間もなく一場の夢と消えていくのさ。6/4

 

金もないのに、ミサイル買いたい、ミルクも欲しい。無節操で無定見、まるでだだっ子のような異次元男に、君たちはいつまで全権を委ねているのだ。6/5

 

「入管法」を改悪はしても、改善する意思などさらさらない異次元内閣。その根底に潜んでいるのは、「どうあってもこの島国に異人を入れたくない!」という、封建時代からの心的遺制である。6/6

 

昨夜「放送開始70年記念番組」というのをなんとなく見ていたが、歳をとっても郷ひろみが一生懸命に歌っている姿に感銘を受けた。が、司会の太田光のいつもの自意識過剰のアホ馬鹿ぶりと「なんとか宣伝部」という若い女性たちの下品さが、ヒジョーに不愉快だった。6/7

 

公凶放送が「金曜日の関東地方は大荒れの天候で落雷もある」と、例によって嘘かほんとか分からず、よしんば外れても謝罪や弁償をしない天気予報を繰り返すものだから、うちの息子は、明日を繰り上げて本日午後に施設から帰宅するそうです。6/8

 

いつの間にやら週刊誌なんかでは犯罪者扱いになっている猿之助選手。(全仏テニスのなんちゃらかんちゃらなんかどうでもいいから)、早く記者会見を開いて一家心中事件とやらの全貌を明らかにしてくれえ。6/9

 

国家権力という巨大な暴力装置を、私利私欲のために恣意的に駆使して悦に入る連中が、おのれの手前勝手な国会運営に異議を唱え、徒手空拳の極私的ゲバルトを用いて阻止しようとする愛すべきドン・キホーテを、凶悪な暴力議員だと非難している。6/10

 

映画とファッション愛好者にやってもらいたいのが、アメリカの服飾デザイナー、イーディス・ヘッド(1897~1981)の映画の全仕事の掘り起こし。後年ヒッチやヘプバーン、グレース・ケリー、テーラーなどに愛された偉大なクリエーターだったが、聖林創業白黒時代の衣裳デザインに光を当ててほしい。6/11

 

イロニーとしての絶対平和論。いかなる戦争も、悪である。ゆえに、もしも不義が正義を武力で圧殺したとしても、我々は正義の戦争も、不義の戦もするべきではないし、悪事としての戦争の当事者を、支援したり、連帯してはならない。6//12

 

「いのちよくもて つくしめ はなと匂って ちる日には さっときれいで あるように」という歌の典拠を長らく捜し求めていたのは、橋川文三であったが、交通事故で九死に一生を得たあとで、「外に出る ときにはきれいなパンツをはこう 何が起こるか わからないから」と詠んだのは、他ならぬわたくしであった。6/13

 

久し振りに高血圧の薬をもらうために病院へ行ったら受付でマイナカードを見せろというから「んなもんは持っていないし、持つ気もない」というと、非国民を見る国防婦人会長みたいな眼で見るので、不愉快だった。だんだん厭な世の中になる。6/14

 

78年前に米国から強いられた安保条約を破棄しない限り、我が国の真の政治的自由は獲得できないじゃろうて。6/15

 

良く知らなかったけど、自衛隊って、なにがなんでも鉄砲撃ちたい、あんな天才バカボンやニャロメやレレレのおじさんみたいな連中が、いっぱい集まっている愉快な集団なんだろうね。6/16

 

このせつ耳にするたびに、耳が汚れるような気がする亜日本語。「○○でよろしかったでしょうか?」「丁寧に説明する」「ほぼほぼ」「慰される」「元気をもらう」「といって前を向いた」「マイナカード」「ジェンダーアイデンティティ」等々。6/17

 

目前を猛烈アタロウ的に激しく流れゆく現実を、否定的、批判的に見つめ直したりせず、ただただ棒立ちするウワバミのように受け止め、尻尾の先から垂れ流すのは、さぞや楽しいことだろうて。6/18

 

羽根がボロボロになったルリタテハが、トヨタエースの白い屋根の上に止まっていたが、上空のコチャバネセセリの雌雄の輪舞を見ると、その輪の中に割りこみ、ひとしきり猛烈な乱舞を繰り拡げていたが、それにも飽きると、また元の白い屋根に止まって羽根を休めているこの夕べ。6/19

 

タテハチョウの仲間は、ある地点を軸にして、ほぼ同じ場所をぐるぐる回りながら、翔んだり、また止まったりする習性があるのだが、アゲハチョウの仲間は、タテハチョウよりも広い空間を、時間をかけて回遊するので、良い子はその習性を利用して、捕獲することができる。6/20

 

「永遠の」ではなく、「永遠と」なる日本語が出回っているというが、奇怪なもの言いだ。「ぜひ読んでください」とは昔ながらの言い回しだが、「ぜひ読まれてください」なんていうのも、桁糞悪いね。おらっちは断固として拒否する。6/21

 

工芸大の学生諸君と付き合っていた頃、ゲームソフトの専門家を目指す彼らが、二言目には「世界観、世界観」とほざくので、その言葉はマルクスやドストエフスキーのものではないか、と莫迦にしていたのだが、歳をとると、マルクスの世界観もゲームボーイのそれも、同じ青二才の匹夫の勇という点で等価値ではないか、と思い直すに到った。6/22

 

いわゆる就職氷河期に、優秀な学生なのに、どこを受けても、どこにも入れずに、日夜苦しんでいる無惨な姿は、見るにしのびなかった。彼らの胸の奥深くに沈んだ、この国に対するあのルサンチマンが、その後の社会変動に対して、大きな影響を与えたに違いない。6/23

 

NHK「首都圏ニュース」のウエハラミツキが、またもや突然休んでいる。勝手に休むな。休まれると、お前さんが出るのを、数少ない楽しみにしている、うちのコウ君がガックリするんだ。6/24

 

たった1球の失投が、12奪三振の力投を台無しにする。野球とは恐ろしいスポーツだ。それにしても、打つべき時にまったく打てない弱いエンゼルスと、大谷がいてもいなくても、平然と勝ってしまう強いドジャース。6/25

 

まことに残念ながら、わが敬愛する詩人、鈴木志郎康さんや妹にはとうとう間に合わなかったが、それでも詩集の刊行が、ギリギリのタイミングで滑り込んだのが、とてもうれしい。6/26

 

ワグネルのプリゴジンこそ、典型的な目立ちたがり屋のポピュリスト。こういう手合いってニッポンにもいるよね。6/27

 

『ミロより優しく、ゴッホより激しく、ピカソより純真 佐々木眞詩歌全集』がセブンイレブンの7net詩集部門で早くも10位にランクイン。らんか社BASE,紀伊国屋、楽天、Tポイント(TSUTAYA)、Neowing、ポンパレモール、ブクログ、キャラアニcomでも好評発売中です。6/28

 

どんどん左眼の視力が落ちてきたので久し振りに蔵並眼科に行ったら、0・8が0・5になっていた。もうこれ以上待てないので、再度白内障の手術に挑戦することにした。神様仏様、なにとぞ旨く行きますように。6/29

 

あっという間に水無月が尽きた。それにしても毎日曇りの予報なのに連日のカンカン照り。予報官って自分の予報が間違っていても、けっして謝らないのはなぜだろう。あれは気象庁かAIのせいだと思っているのだろう。6/30

 

このYOUもこのYOUもジャニー喜多川にやられてたのかとじろじろ見てる 蝶人

 

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なにゆえに第107回~西暦2023年水無月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2023-07-02 10:13:09 | Weblog

ある晴れた日に 第714回

 

なにゆえに原発運転を延長するフクイチ再来が必要なのか

 

なにゆえに保険証を廃止する廃棄すべきはマイナカード

なにゆえに2位アストロズに脆くも敗れる自分で投げて打つべき試合に

 

なにゆえにまたアストロズに負けちゃうのマリナーズにも抜かれたエンゼルス

 

なにゆえにそんなに急いでどこへ行くマイナ子育て軍事予算

 

なにゆえに異次元男を罷免しない公私混同の最右翼なるを

 

なにゆえに平家蛍一族は滅亡した一夜の豪雨で海に流され

 

なにゆえに箸が1本どこかに消えた筆は1本箸も1本

 

なにゆえに第3、第4自民が自公と結託やっぱお前ら令和大政翼賛会

 

なにゆえに「自公維国」が勝手に決める「立憲共社れいわ」に投票しなかった

 

なにゆえに山本太郎は立派な政治家障害者を大事にしている

 

なにゆえに詩集は売れない「大きな名刺」と考えられてる

 

なにゆえにキシダの支持が上回る幕府の狗の公凶放送

 

なにゆえに朝の5時から電話する「父さん大好き」はいいとしても

 

なにゆえに祖父小太郎は呼び出した中学の余がジェイムズ・ギャグニーをみている最中に

 

なにゆえに国会解散総選挙を取り止めるせめてのおもろい見物だったに

 

なにゆえに全法案が罷り通る太平の世に何事も無し

 

なにゆえに「自公維国」が独裁をする受け皿作りが出来ない野党

 

なにゆえにせめて『明暗』を終えなんだ49歳で身罷りし君

 

なにゆえにゲストはN響をよいしょするNHKが異次元男をよいしょするので

 

今晩のゲストもN響をよいしょするNHKが異次元男をよいしょするので

 

なにゆえに故人の名刺は捨てがたい安西水丸戸田ツトム

 

なにゆえに「レコード芸術」は潰れた読みたい書き手がおらへんかった

 

なにゆえにすぐに疲れる何もせず朝昼晩と生きてるだけで

 

なにゆえに眼差しは揺れ動く上から目線の視線に戸惑い

 

なにゆえにワグネルはモスクワ進軍を取り止めたプーチン・ロシアをやっつけられたに

 

なにゆえにまたエンゼルスは負けちまう昨日の分を今日に廻せよ

 

「なにゆえにタテの短歌を横イチにする?」「縦のものを横にしたのよ」

 

なにゆえにいくら探しても見つからない松田世紀男は生きているのか?

 

なにゆえにもう6月が終わっちまった私一人を置き去りにして

 

なにゆえに左の視力が0・5 8月末に手術をするぞ

 

 なにゆえに大谷選手は投げて打つただエンゼルスを勝たせるために 蝶人

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