ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

吉田寿し @名古屋市中区・丸の内

2022年10月28日 | 名古屋(中区 老舗)

以前から店の前を通る度に建物が気になっていたが、近くの「やぶ松」を訪問した時にランチ・メニューが外に出ていたのを見て訪問を決めた丸の内にある「吉田寿し」へ。店に辿り着くと丈の短い暖簾が掛かっているが、ランチメニューは出ていない(上の写真は食事後撮影)。ま、いいやと中へ。中はL字カウンター席があり、年季が入った風情のある普請。テーブル席や小上がり席もある。中では年配の主人がちょうどランチメニューを外に出すところだった。カウンター席に腰掛けて壁に貼られたメニューを見上げると「おつまみ一品、またはおすしで・ちょいと一杯!」なんていう札があった。昼でも大丈夫か尋ねるとOKとのこと。他には「さしみ」「湯どうふ」「コーチン焼」が選べるよう。歩いて来ているのでしめしめと「すし五カン」と酒をお願いした。自分の座った席の前には「名妓連」の芸妓さんの名前の千社札が貼ってある。近いだろうからそういう方達が立ち寄るんだろうナ。

女将さんが片口に入った酒(ひや)と猪口を持って来てくれる。他には若い衆が1人奥に居るようだ。酒をクイッと。昼の酒は旨いなァ。主人が握った寿司が置かれた。鮪中トロ、イカ、白身、平貝、玉子の5つ。握りはやや小さめ。昼のタネなので特にどうということは無いが、昼間っから鮨屋で一杯やっているという気分だけで満足(笑)。この後にちょっと用事があったので追加は止めておき、サッと食べて勘定してもらった。次はゆっくり時間を取りたい。風情ある奥の建物も座敷になっているようだが、そちらに入るチャンスはあるだろうか。(勘定は¥1,650)

 

 


 

↓ 店の横には別の入口があり、建物は奥に続いている。大正時代に建てられ移築され、終戦後に料理屋として利用され始めたのだとか。中庭や茶室があるのだという。席を予約出来るようなので誰かを連れて料理をいただいてみたいな。

 

 


 

 

すし料理 吉田寿し

愛知県名古屋市中区丸の内1-11-22

 

( 名古屋 なごや よしだすし よしだずし 料理吉田 吉田寿司 料亭吉田 近代和風建築 芸妓 げいぎ 名妓連 めいぎれん )

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川村屋 (2) @名古屋市中区・新栄

2022年10月20日 | 名古屋(中区 老舗)

久しぶりに新栄の和菓子の名店「川村屋」に足を運ぶ。暑い中歩いて向かったので汗が止まらない(訪問:夏)。この後に他所に行こうとしていたので上生菓子は持って帰れないだろうと干菓子目当て。質素な佇まいの店の戸を引く。中に入るとガラス棚の中の菓子はシンプルにいくつか並ぶのみ。奥に声をかけて出ていらした女将さんに「落雁を…」と尋ねると、今は作っていないとのこと。なんでもコロナ禍によって茶会が軒並み中止になってしまい、売れないので一時製造を中止しているのだとか…。でも手ぶらで店を出てくるわけにはいかないので、この後の予定を変更して上生菓子を選ぶことに。サンプルは6つ程出ていたが、その中でも4種類しか残っておらず、それらを全て1つづつ購入することにし、箱に入れ包んでもらった。

家に帰って妻と分けっこ。購入したのは「こぼれ萩」「白蓮」「金魚鉢」「青苔」の4つ(※名前の覚えに自信ありません)。先の2つを自分が、そして後の2つを妻に。「こぼれ萩」は綺麗な緑色の餅皮にうぐいす餡。ふわっとした口当たり。「白蓮」は笹の葉に包まれていてしっとりと瑞々しく、葛を使ってあるのかプルプルとしてこぼれてしまいそう。真ん中に入っているのは名前からいくと蓮の実かな(未確認)。抹茶粉を買って帰るのを忘れたので煎茶でいただいた。茶道の盛んな名古屋だけに、茶会が無いというとこうして携わっている色々な仕事に影響が出るんだな。やっと国を挙げてコロナ感染者が出ていたとしても”日常を取り戻す”モードに入ったようなので、以前と同じとは言わないまでもだんだん回復していくことを祈る。(勘定は¥1,300程)

以前の記事はこちら

 

 

御菓子司 川村屋

愛知県名古屋市中区新栄2-18-1

 

( 名古屋 なごや 新栄 しんさかえ かわむらや 和菓子 上生菓子 落雁 干菓子 栗きんとん 藤団子 茶道 茶会 茶菓子 )

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桔梗常 (2) @名古屋市中区・矢場町

2022年06月25日 | 名古屋(中区 老舗)

久しぶりに東陽通近くの麺類食堂、創業明治25年頃(1892)という歴史ある「桔梗常」へ。到着したのはちょうど昼の時間。暖簾をくぐると洗い出しの土間のテーブル席や小上がり席にはサラリーマンと思しき客が沢山。店内には渋い金文字看板が掲げてあるが、その横のテーブル席だけ空いていたので素早く腰掛けた。ご高齢の女将さんに「カレーライス」をお願いする。

しばらくしてとても古い木の盆にのった「カレーライス」が運ばれた。紙ナプキン巻のスプーン、らっきょう、お冷ものせられている。「カレーライス」はクラシックな楕円の深皿にたっぷり。これだけの量は予想していなかった。食べ切れるかな…。具材は豚バラ肉と玉ねぎのみ。早速スプーンをいれていく。とろみのあるカレーは最初そう辛くないナと食べ進んだのだが、後から辛さがしっかりとやってくる。特に複雑な味わいのカレーではないのだが、後を引く旨さ。途中で少し味を変えようと卓上のソースをたらしたのだが思いのほか出てしまい、慌ててソース部分を口に入れる(全体的に味を変えてしまうのは嫌なので)。心配したけれど、汗だくになりながらも(笑)全部食べ切った。こちらではうどんでもよくカレーが出るみたいだが、なるほどいい感じのカレー。次は「カツカレー」を頼んでしまいそう。(勘定は¥550)

以前の記事はこちら

 

和食・めん類 桔梗常 (ききょうつね)

愛知県名古屋市中区栄5-19-27

 

( 名古屋 なごや 栄 さかえ ききょうつね 麺類食堂 大衆食堂 食堂 老舗 洋食 カレー ライスカレー )

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御園丸正 @名古屋市中区・伏見

2022年05月07日 | 名古屋(中区 老舗)

御園座で老母と歌舞伎観劇をした折りに場内での昼食用に買ったのは御園通りにある魚屋経営の弁当屋「御園丸正」の弁当。母を会場で待たせ、店まで買いに行った。昼時ともなると近隣のサラリーマンやらリタイアした年配客でごったがえす人気の店。一度買ってみたいナと思っていたがなかなか機会が作れなかったので願ったり叶ったり。鮮魚店としては昭和元年(1926)創業なのだとか。店に入ると棚に様々な弁当のパックが並べられている。壁側の棚にはお惣菜のパックも沢山。以前は店内で飲食をしている人も居たが、コロナ禍だからか食べている人は居なかった。選んだのは「丸正のり弁当」。これを2つとペットボトルのお茶を2本購入し、御園座館内に戻る。

ちょうど昼に開演となるのでその前に席で弁当を広げた。横長のパックには紅鮭と鰆(さわら)の西京漬を焼いたのがどーんと横たわっている。他にも玉子焼、ちくわの磯辺揚げ、お浸し、黒豆などがぎっしり。もちろん”のり弁”なのでその下には海苔が敷いてあり、その下には鰹節、明太子、昆布が隠れている。焼魚はさすが鮮魚店だけあって身も厚く、冷めていても旨い。高くない弁当だが量もしっかりなので、母は食べ切れなかったようだ。以前だったらまずこの魚やおかずで酒を呑んで、締めに下のご飯を食べて、ということが出来たが、現在御園座の場内では飲酒が禁止されているので叶わず。次は是非そうしたいナ。(勘定は¥830/個)

この後の記事はこちら (2

 

御園丸正

愛知県名古屋市中区栄1-7-20

 

( 名古屋 なごや 伏見 伏見 みそのまるしょう 丸正 鮮魚店 魚屋 御園座 歌舞伎 弁当 持ち帰り弁当 惣菜 )

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新潟 @名古屋市中区・鶴舞

2022年01月28日 | 名古屋(中区 老舗)

以前から気になっていた鶴舞の喫茶店「新潟」。鶴間公園の北の交差点にあり、店のあるビルも洒落た白い枠に茶色のタイル壁と渋い。店名の由来は先代のご出身地からだそうで、創業は昭和27年(1952)だとか。店内はシャンデリアが下がり、所狭しとテーブルが並んでいる。中にはゲーム卓もあるし、調理カウンターにはオレンジ色のポップなペンダント・ライトが下がる昭和喫茶風情。たばこ売場もあるのでもちろん喫煙可。各テーブルにはマッチも常備してある。年配のご夫婦と給仕女性でやっていらっしゃるようだ。この地方の数多ある喫茶店と同様、食事メニューは充実していて、ラーメン、うどん、丼物、定食と沢山。「スパゲティ」と告げると、「イタリアン、ミート、インディアンとありますが…。」と訊かれたので「ミート」でお願いした。すぐに紙ナプキン巻フォークとタバスコが用意される。

「(ミート)スパゲティ」は鉄板にのってやって来た。上からかけられたミートソースは明らかに少なめ。玉子敷きタイプだったが、玉子液を注いでから少し時間が経ったようで、すでに薄焼き玉子状態になっている。さっそくフォークでクルクルと巻いていただく。スパゲティはかなり軟らかい茹で加減。ソースは細かく切った人参やマッシュルームが入っていて、いわゆる”ボロネーゼ”風ではなくトマトソース系。喫茶店ではよくあることだが、味わいからすると業務用のものかもしれない(未確認)。メニューには内容不明だが「朝食」っていうのもあったので、もし朝にこの辺りに居ることがあったらまた寄ってみよう。(勘定は¥550)

 

喫茶 新潟

愛知県名古屋市中区千代田5-22-38

 

( 名古屋 なごや つるまい 鶴間公園 つるまこうえん にいがた 喫茶新潟 モーニング コーヒー 純喫茶 スパゲッティー スパゲティー 鉄板スパゲティー 鉄板スパ )

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井筒冨 @名古屋市中区・千代田

2022年01月24日 | 名古屋(中区 老舗)

千代田であるうどん屋へ行くも長期休業中とのこと。そこで近くの創業が大正2年(1913)というから100年以上もの歴史がある麺処「井筒冨」へ。元々は東区で創業し、上前津を経て昭和28年からこちらで営業されているそうで、現在4代目だとか。軽く腹に入れたいナと暖簾をくぐって中に入ると、間口は狭いが奥に深い店舗。テーブル席に腰掛け、品書きから「おろしたぬき」を選ぶ。麺はどれにも出来るということなので「きしめんで、冷たいの」とお願いした。

あっという間に出てきた「おろしたぬき」はきしめんの上に大根おろし、山菜、揚げ玉がのっている。つゆは濃いが甘味があってまろやかな口当たり。”ころ”を注文した訳ではないがつゆの量は多くない(←”ころ”と”冷たいの”は同義とは限りません)。きしめんを手繰っていく。幅や厚さは標準的。麺はかなり軟らかめ。いつもこうなのかは知らないが、自分にはちょっと緩すぎるかな。ザクザクの食感の揚げ玉がいいかんじ。つゆに揚げ玉の油が混ざっていき、だんだん味が変わってくるのもいい。スルスルっといただいて勘定してもらう。次は丼物にしてみよう。(勘定は¥800)

 

 


 

↓ コーヒー豆を買いに行った創業して66年という卸売の「カワチ珈琲商会」。喫茶店の看板で名前を見たことがある人も多いだろう。駐車場内に販売所があるのだが(写真下1枚目)棚に豆が全く無い。「あれ?」と思っていると店の方が出てきて「今日で廃業することになったんです。」とのこと(驚)。卸業を廃業するのか、この販売所を廃業するのか訊かなかったが、「せっかく来ていただいたのに…。」とカレンダーだけ下さった。

 

 

 


 

 

めん処 井筒冨

愛知県名古屋市中区千代田3-33-13

 

( 名古屋 名古屋 千代田 ちよだ 鶴舞 つるまい いづつとみ うどん そば 蕎麦 きしめん 麺類食堂 丼物 カワチコーヒー カワチ珈琲 カワチのコーヒー 喫茶店 珈琲 ) 

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島正 (3) @名古屋市中区・伏見

2021年11月16日 | 名古屋(中区 老舗)

御園座」で歌舞伎を観終わって、老母を近くのホテルの部屋で休ませた後に「呑みに行こう」と誘い出すも、脚が弱い母は消極的。「1人で好きなとこ行ってきて。」と言われたが、折角のハレの日だからと歩ける範囲というシバリで呑みに連れ出した。前回の観劇時は「大甚本店」だったが、今回選んだ店は創業昭和24年(1949)の「島正」。まだコロナの緊急事態宣言が解除されたばかりだが(訪問10月)せっかく店まで歩いて行って満席では母(の脚)が終わってしまう。事前に店に電話を入れてみたがやはり席は予約できないそう。タクシーを呼ぶには近過ぎるので、開店時間に合わせてがんばって歩かせ、何とか店に到着(ホテルからのたった400mが遠い遠い・苦笑)。無事席が空いていたので座ることが出来た。ホッ。

久しぶりの訪問だったが、カウンター席の上には調理場と席を隔てる引き窓が造作されていた。なるほどコロナ対策か。客は早くも6分の入り。調理場は若い人達だけで回していて、主人は入口近くの椅子に座って悠々自適といった感じだ。まずは何はなくともビール。瓶ビール(サッポロラガー)を注文して2人で乾杯。冷たいのをグイッとやる。ふぅ、ウメー。お通しはじゃこおろし。焼鳥の「ねぎま(豚)串塩焼き」「心臓(鳥)串塩焼き」「砂肝(鳥)串塩焼き」を注文した。鉄串で焼き上がった焼鳥を頬張りながら、観たばかりの玉三郎の話で盛り上がる。「こういう雰囲気で呑むの久しぶり。」という母。高齢ゆえに人混みは避けさせていたので、彼女は外食自体が久しぶり。自分だって呑みに出るのは久しぶりだ。酒場独特の喧騒の中、やっと呑める幸せ。

酒を”どん燗(ぬる燗)”でお願いする。こちらの酒は「賀茂鶴」の上等酒。「おでん盛り合わせ」と一緒にいただく。漆黒の味噌に漬かったおでん種は、大根、豆腐、こんにゃく、玉子、里芋、牛すじ(ちなみに大根のみ単品では注文出来ない)。見た目は濃くて辛そうだが、実はサラッとしていて甘味も控えめ。あっさりといただける。最後は「串カツ」を味噌2本、醤油1本で追加。味噌はどての鍋にドボンと。串カツの醤油って初めてだったのだが、何か特製の醤油だれでもあるのかと思っていたら、何のことは無い、自分で卓上の醤油をかけてくれと。量は多くないが、色々食べて喉も潤して満足。勘定してもらった。さて、ホテルまで送り届ける400mが歩けるのか…。(勘定は¥5,100)

以前の記事はこちらこちら

どて焼き 島正

愛知県名古屋市中区栄2-1-19

 

( 名古屋 なごや 伏見 ふしみ しましょう おでん 味噌おでん どて味噌 老舗 島田正吾 池波正太郎 散歩のとき何か食べたくなって きむらや 屋台 ) 

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一冨士 (2) @名古屋市中区・伏見

2021年11月08日 | 名古屋(中区 老舗)

老母を御園座に連れて行った時の観劇前の食事。母は脚が悪いので歩いて行ける範囲が限られる。そこで近くの「一冨士」へ。創業は大正12年(1923)。母の牛歩に付き添いながら店の暖簾をくぐる。落ち着いた雰囲気の店内に先客はまだ1組のみ。昼に近くなると客が増えてくるが、ここは客層が良く、人が多くてもガチャガチャしないのがいい感じ。観劇の日は”ハレの日”でもあるので、ちょっと呑もうと誘う。まずはビール(プレモル中瓶)と、日本盛をどん燗(ぬる燗)で頼み、つまみは「う巻」、「きもてり」、「かしわのしもふり」、そして「香の物」をお願いした。まずはビールで乾杯して乾燥した喉を湿らせる。週に1度は母と夕食を共にする日を決めているが、彼女は酒好きなので何でも嗜む(一番好きなのはウイスキーだそう)。歳をとっても酒が呑めるのはいいことだ。

「う巻」はしっとりとした玉子焼きの中に崩れ鰻。さすがの仕上がり。味加減良く、旨い。「きもてり」はしっかりとした苦味。これも旨いナー。この辺りで酒に。「かしわのしもふり」はふわっとした口当たり。生姜醤油につけていただくが、色が淡いので白醤油でも使っているかな。各品はこちらから言わずとも皿を2つに分けてくれているのは有難い。「香の物」は、守口漬、白菜、かぶ、きゅうり、茄子などと多彩。さすが老舗の香の物。漬け加減良く、母も「これ美味しいね。」と沢山つまんでいた。これがまた酒にピッタリだ。さて、呑ませ過ぎると観劇中にイビキをかきかねないので(笑)、この辺りで母に「長焼御飯」を追加。吸物と香の物が付いている。塗りの器に並べられた長焼はたれ濃いめ。母にはご飯の量が多いので予想通りこちらに半分くらい回って来た。しっかりめの焼き(もちろん直焼き)で香ばしく旨い。さて時間なのでそろそろ勘定を。自分もイビキをかかないようにしないと(笑)。(勘定は¥7,000程)

以前の記事はこちら

 

うなぎ ふぐ 一冨士

愛知県名古屋市中区栄2-2-7

 

( 名古屋 なごや 伏見 ふしみ いちふじ 一富士 鰻 河豚 日本料理 老舗 広小路 どんかん 鈍燗 鰻丼 うなぎ丼 昼呑み 昼酒 )

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河文 @名古屋市中区・丸の内

2021年10月13日 | 名古屋(中区 老舗)

清須越しで名古屋に移り住んだ河内屋文左衛門が棒振りの魚屋として創業し、400年もの歴史を持つ名古屋を代表する料亭「河文」。以前に茶房を利用したことがあるが、料亭は通常1人では利用出来ないし、他の客の手前、建物の中を巡ることは出来ないものなのだが、以前に上飯田の「志ら玉」や、白壁の「か茂免」を訪れた時と同様に、若女将による建物や料理の案内が含まれた食事の企画があったので参加してみた。

まずは参加者を引き連れての館内の案内。若女将が河文の歴史や建物、季節に合わせてあちらこちらに配置してある物の意味やらを快活な口ぶりで裏話を交えながら楽しく説明してくれる。この一帯は空襲で焼けてしまったので、建物は戦後すぐのもの(最近大規模な改修が行われたとのこと)。主屋の部分は昭和25年、篠田進、川口喜代枝による数寄屋建築。よくもそんな時期にこれだけ贅を尽くした建材が集められたものだ。水を張った中庭と「水鏡の間」は昭和46年、谷口吉郎設計によるもの。最近ではG20(金融世界経済に関する首脳会合)の外相主催夕食会の際に利用されたのだとか。周りには高いビルもあるので警備などは1年がかりで準備が進められたそう。そんな裏話なども興味深い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋を移して食事会。掛軸(←約600本あるそうだ)と部屋の意匠を説明してもらい、コロナ禍とあって1人1テーブルで同じ方向を向いて学校の教室のように着席した。食事の前にアレルギーや苦手な食材が無いか訊かれたのだが、こちら河文では事前申告ではなく客が揃ってから本人に訊き、不都合のある食材があった場合にはその場でその人の分だけ料理を変えるというのだから凄い(当人の正しい申告を確認するためだそう)。現在こちらには20人の板前が居てその半分は女性なのだとか。しかも最近になって女性を採用したのではなく昔からの気風なのだそうだ。

時節柄、酒類は提供出来ないということで自家製ジンジャーエールで我慢したが、菊の花びらが浮かんだ菊酒、先付(前菜)、八寸、椀物(煮物)、向付(刺身)と料理が進んでいく。こちらで使用している器は、戦前のものは空襲で全て消失してしまったため、後から揃えられたものだそう。訪れたのは不老長寿を願う”重陽(ちょうよう)の節句”の時期(※訪問9月)だったので、どの皿にも不老長寿を願う菊の花(もって菊)があしらわれていて、茄子など秋の食材を食べるのが習わしだという。最後には鰹のづけや香の物でごはん、止め椀(味噌汁)をいただき、鱧団子のうどん、そして最後に水菓子(葡萄寄せ)をいただいて、了。

料亭では本来食事の内容説明は無いものだが、ここでは若女将がそれぞれの料理にはどういう意味が込められているか、どういう食材を使っているかなど丁寧に教えてくれ、同時にマナー講座をしてくれた。食事の最中にも、日本文化のこと、茶道の流派のことなど、色々な話を興味深く教えてくれる。若いが大したものだ。特に茶道や尺八など現在日本で関与人口が激減している伝統文化を、大陸の某大国が始祖である自分たちの国に取り戻そうとしていて、人材や銘品を含む様々なものが急激に某国に流出している話には身をつまされた。

最後に菓子と抹茶をいただき(→そもそも懐石料理とはこの御茶をいただくための前奏なのだ)、散会。現在は創業一族ではなく他の資本が入っている「河文」だが、守っていこうとしているものは変わらず継承されているようだ。次はどなたかに接待で呼んでいただいて…。(勘定は¥11,000程)

以前の茶房の記事はこちら

 

 

 

  

河文

愛知県名古屋市中区丸の内2-12-19

 

( 名古屋 なごや かわぶん 料亭河文 老舗料亭 和食会席 懐石 料亭 旧暦 尾張徳川家御用達 国登録有形文化財 プラン ドゥ シー )

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びぎん @名古屋市中区・栄

2021年05月23日 | 名古屋(中区 老舗)

コロナ禍だからかどうかは分からないが、何度も通った店や、もう一度行こうと思っていた店が無くなっていることが殊の外増えてきた。この日も久しぶりに昼食をと栄の”むつみ小路”にある「キッチン・ゲラン」を覗いたら、すでに新しい店舗の造作途中…。あぁ、残念。まだ他に辞めてしまった店がいっぱいありそうだなァ…。

昼食後に寄ったのは”珈琲だけの店”「びぎん」。創業は昭和26年(1951)だとか。かつては洋食店だったそう。先代が自家焙煎に早くから取り組んで”珈琲だけの店”になったのだとか。現在は代替わりして3代目らしい。階段を降りて地下の店の扉を開けると、中はカウンター席のみ。こちら看板通り、コーヒー以外は菓子も何も無く、もちろんモーニング・サービスとかも無い名古屋では珍しいコーヒー専門店。主人の前に腰掛けてメニューから”当店自慢の”とあった「モカブレンド」をお願いした。主人が豆をその場で挽いて、小さいネルを使って1杯づつ丁寧に淹れている。温められた小さめのカップに注いで完成。サーヴされた。

店に入った時からいい香りが漂っていたが、口元に近づけるとしっかりとした焙煎香が感じられる。ぐっと濃いめの味わいで、苦味もしっかり。旨い。個人的には何か甘いものをつまみたいところだけれど、本当に”珈琲だけ”で何も無いので仕方がない。店に入って来た他の客は、たまたまなのか2人とも本を広げていた。自分は店でそこまでゆっくり出来る性質ではないので、1杯をゆっくりと味わい、勘定してもらった。こちらでは自家焙煎した豆も売っているので次は買って帰ろうかな。(勘定は¥550)

 

 


 

↓ 取り壊しが決まっている「栄町ビル」(昭和39年・1964・建造)。今はもう中古レコード店と地階のグルメフロアの数軒が営業しているのみになって他の店舗は撤退が済んでいた。このビルでは色々食べたり買ったりしたなァ。

 

 

地階のグルメフロアにあった店舗の記事はこちら

・ジュース・サンドイッチ「うめや
・とんかつ・ハンバーグ「いし河
・天ぷら「松月
・スパゲッティ「チャオ
・喫茶「ペリカン

 


 

 

珈琲だけの店 びぎん

愛知県名古屋市中区栄3-4-26

 

( 名古屋 なごや 栄 さかえ びぎん コーヒー 珈琲 喫茶店 純喫茶 近代建築 栄町ビルグルメフロア 解体 閉店 )

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