How to Become Clairvoyant / Robbie Robertson (2011)
元ザ・バンド(The Band)のロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)による5枚目のアルバム。ザ・バンド時代は多くの曲を手掛けていたにも関わらず解散後は寡作で、あまり活動内容には詳しくないけれど裏方に回っていることが多いのかな。ソロ・キャリアもほとんど追ってこなかったので、アルバムを購入するのは初めて。外国ではどうか知らないが日本の音楽評論の中ではザ・バンド解散の戦犯みたく扱われることが多く、後のレヴォン(Levon Helm)らとの確執もあって、後追いの自分のような人間にも何となくダーティーなイメージが付いてしまっている。バンド解散の実情なんてそんな単純なものじゃないだろうに…。解散前最後の大仕事、映画「ラスト・ワルツ」はDVDでもCDでも所有しているが、映像ではえらく垢抜けたロビーがかっこよくて印象的だった。
このアルバムが気になったのは参加クレジットにあのトレント・レズナー(Trent Reznor)の名があったから。「え!ロビーとトレント?」というどうしても結びつかない2人が何をどうしたのか知りたくなった。ロビーの過去のソロ作品をほとんど知らないので、ある意味ニュートラルな状態で聴くことが出来たが、穏やかな冒頭からなかなか雰囲気があってかっこいい。意外にも彼のギターはあまり目立っていなくて、もともと派手な音色のギターではないが突出することなく曲に馴染んでいる。”歌えない”と揶揄され続けていたロビーの歌も声を張り上げるでもなく呟くように静かに歌っているが、曲調にも合っていてイイじゃないか、なかなか。
肝心のトレントだが、クレジットには”additional textures”としてある。これがプロデュース的な事なのか、何かを提供したのか、意味するところが全然分からないし、インストではあってもナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)的な世界観も音も特に感じられないのだが一体?…。その他にもクラプトン(Eric Clapton)やスティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)を始めとする豪華なゲスト陣。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against The Machine)のトム・モレロ(Tom Morello)なんていう意外なところも。彼らしいトリッキーなギター音も聴けるが、おおよそかけ離れたスタイルのああいうギターがロビーも好きなのか(笑)。リズム隊には大御所御用達のピノ・パラディーノ(Pino Palladino)やベテラン、ジム・ケルトナー(Jim Keltner)の名前が。ゲストの活躍はさておき、なかなか雰囲気のあるいいアルバムだ。
オークションにて購入(¥468)
- CD (2011/4/5)
- Disc : 1
- Format : CD, Import
- Label : 429 Records